幹細胞を用いた歯の再生研究と将来展望

アメリカ人は50歳までに平均で8本の歯を失います。国によってはさらに多く失うケースもあります。第三の歯列を自然に再生できたらどうでしょうか。人工的な義歯ではなく、骨や根、神経を備えた本物の歯を再び生やすことが目標です。幹細胞研究は、歯だけでなく歯茎や歯槽骨(歯を支える骨)の若返りにも希望をもたらしています。

インプラントの成長

チタン合金製の歯科インプラントは、義歯やブリッジに比べ耐久性が高く、機能的にも優れていますが、費用と時間がかかります。2009年2月8日の"Tribune-Review"では、ピッツバーグ歯科大学の頭蓋顔面再生センターの研究者が、幹細胞から"ゼロから"歯を育成する方法を開発中と報じました。抜歯した乳歯や抜歯歯から得た幹細胞を"スキャフォールド"(足場)に入れ、歯の形に誘導します。十分に成長したら患者の顎に移植し、自然な歯として機能させることを目指しています。また、幹細胞は歯槽骨の再生・強化にも利用でき、従来のインプラントの固定性を高められると期待されています。

インプラントではなく再植

"Journal of Dental Research"掲載のコロンビア大学医学センターの研究では、幹細胞を用いてわずか9週間で新しい歯を育成しました。実験はマウスで行われ、従来のように培養皿で細胞を育てるのではなく、抜歯したソケット内で直接歯を形成させました。これにより、歯と骨・歯茎が一体化し、将来的に義歯や従来のインプラントに代わる新しい治療法となる可能性が示されています。

形の整った歯

研究リーダーの毛博士は"本研究は、生体内で解剖学的に形状を持つ歯様構造を初めて報告した"と述べ、将来的にこの技術が歯科インプラントの困難さや失敗率を低減させることを期待しています。

別の方法:日本の研究例

2007年、ロイター通信は日本の研究チームが幹細胞を用いた歯の再生に成功したと報じました。まず、間葉系幹細胞をコラーゲンで満たした培養皿に入れ、歯胚を作製。その後、マウスに移植すると、正常に成熟した歯が形成されました。東京理科大学の辻隆志教授は"再構成した歯胚は完全かつ全てがバイオエンジニアリングされた歯を生成する"と語っています。

予測と課題

歯はエナメルの下に象牙質、さらに神経や血管が走る歯髄と複雑な構造を持ちます。タフツ大学顎顔面・分子遺伝学部門のパメラ・イエリック准教授は、人間への臨床試験は2014年以降になる可能性が高いと見ています。"課題は山ほどある"と述べ、技術的・倫理的ハードルが依然として多いことを指摘しています。

歯科処置 - 関連記事