A群連鎖球菌(GAS)について

1. 病原性

A群連鎖球菌(Group A Streptococcus、GAS)は、宿主細胞に付着・侵入するための複数の毒性因子を産生します。主な因子はMタンパク質で、免疫系からの回避を助けます。

  • ストレプトリシンO・S:細胞膜を破壊する細胞溶解性毒素。
  • ストレプトキナーゼ:血栓を構成するフィブリンを分解し、組織拡散を促進。
  • ヒアルロニダーゼ:細胞外マトリックスのヒアルロン酸を分解し、細菌の広がりを助ける。

2. 主な感染症

  • 咽頭炎(いわゆる溶連菌性咽頭炎):喉の痛み、発熱、リンパ節腫脹が典型的。
  • 猩紅熱:咽頭炎に加えて全身に紅い発疹が出る。
  • 膿痂疹:露出した皮膚に赤く滲出性の潰瘍ができる皮膚感染症。
  • 蜂窩織炎:皮膚深層の炎症で、紅斑、熱感、腫脹、疼痛を伴う。
  • 壊死性筋膜炎:稀だが急速に軟部組織を破壊する重篤な感染症。
  • 連鎖球菌性ショック症候群(STSS):毒素が血流に放出され、生命を脅かす状態。

3. 治療

GAS感染は主にペニシリン系またはエリスロマイシンなどの抗生物質で治療します。早期診断と適切な抗菌薬投与が合併症予防の鍵です。

4. 予防

定期的な手洗い、感染者との密接接触回避といった基本的な衛生管理が有効です。一部の国では特定血清型に対するワクチン接種が行われています。

5. 疫学

GAS感染は全世界で広く見られ、全年齢層が罹患しますが、特に小児・若年成人に多いです。学校、軍隊、保育所などの密集環境で集団発生しやすい特徴があります。

適切な治療と予防策を講じれば、ほとんどの感染は効果的に管理できます。

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