食事と歯周病予防
歯周病は成人の約80%が罹患している深刻な疾患です。放置すると、歯茎の炎症や出血といった初期症状が、骨の吸収や結合組織の喪失、最終的には歯の喪失へと進行します。生活習慣や遺伝的要因が関与しますが、食事は予防と進行抑制に重要な役割を果たします。
カルシウム
カルシウムは口腔の健康と強く結びついており、カルシウムが豊富な食事は歯周病の進行を抑える効果があります。2000年7月に『Journal of Periodontology』で報告された研究では、食事中のカルシウム摂取が少ないと歯周病が速く、重症化しやすいことが示されました。米国歯周病学会長のマイケル・P・レスマン氏は、カルシウムが歯茎の下の骨量を増強し、細菌による骨吸収を防ぐと指摘しています。乳製品、葉物野菜、カルシウム強化食品などを積極的に摂りましょう。
乳製品
乳製品はカルシウム源であるだけでなく、歯周病予防に他の効果も期待できます。2002年7月の『Journal of Periodontology』に掲載された日本・久山地区での調査では、ヨーグルトやケフィアなどの発酵乳製品を定期的に摂取した人は、歯周病の症状が改善されました。乳酸が口内の有害菌を抑制し、歯と歯茎の間にできる「歯周ポケット」の細菌活性を低下させると考えられています。生きた乳酸菌を含むヨーグルトなどを日常的に取り入れましょう。
全粒穀物
全粒穀物は全身の健康に寄与するだけでなく、歯周病の予防にも役立ちます。2006年6月の『American Journal of Clinical Nutrition』の研究では、全粒穀物の摂取が歯周炎(歯周病の進行形態)のリスク低減と関連していることが報告されました。全粒穀物は体内の炎症を抑え、口腔内の炎症も軽減します。オートミール、胚芽、小麦粉、全粒パン、ブラン、玄米などを1日数回取り入れましょう。
ビタミンC
ビタミンCは壊血病予防だけでなく、歯周病の進行抑制にも重要です。結合組織の修復を助け、歯周ポケットの形成を抑えるとともに、抗炎症作用で症状緩和に寄与します。ビタミンCが豊富な食品として、オレンジ、パパイヤ、ピーマン、イチゴ、ブロッコリー、カリフラワーなどがあります。
粘着性食品
食べ物が歯周病に与える影響は、噛む瞬間から始まります。フルーツロール、レーズン、乾燥果物、タフィー、ソフトキャンディなどの粘着性食品は歯と歯茎の間にくっつきやすく、歯茎の炎症を悪化させ、プラークの蓄積を促します。これらを摂取した場合は、食後にしっかりブラッシングとフロスで残留物を除去しましょう。
その他の留意点
カルシウム、全粒穀物、ビタミンCを豊富に含むバランスの良い食事は歯周病予防に有効ですが、日々の口腔衛生も欠かせません。毎日のブラッシングとフロス、定期的な歯科受診でプロフェッショナルなクリーニングを受けることが、歯周病の予防・改善につながります。
