小児におけるトリコチロマニア(毛抜症)
トリコチロマニア(毛抜症)の臨床基準
DSM‑IV‑TRに基づく診断基準は以下の通りです。
- 毛髪を繰り返し抜く行為があり、目に見える脱毛があること。
- 抜く直前や抵抗しようとしたときに緊張感が高まること。
- 抜いた後に快感、満足感、または解放感を得ること。
- 他の精神疾患や皮膚疾患によるものではないこと。
- この行為が社会生活、学業、職業などに支障をきたす程度の苦痛や機能障害を伴うこと。
研究によっては上記基準が狭すぎると指摘され、緊張感や解放感を報告しないケースもある。特に子どもは自己認識が不十分なため、基準の拡張が重要になる。
小児における診断
子どものトリコチロマニアは一時的な習慣として捉えられることがあるが、数か月以上続く場合は本格的な診断が必要です。思春期発症の場合、他の衝動制御障害や強迫性障害を併発していることが多く、包括的な評価が求められます。
子どもへの影響
脱毛による外見の変化や、周囲からのいじめにより社会的・学業的な障害が生じやすいです。また、親は対処法が分からずフラストレーションを抱えることが多く、家族全体にストレスが広がります。
治療法
マサチューセッツ総合病院の小児心理士カトリン・トレイナー博士は、認知行動療法(CBT)が有効であると報告しています。気分障害や不安障害が併存している場合は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を併用することがありますが、基礎疾患がないケースでは薬物療法の効果は限定的です。CBTは子ども自身と保護者が共同で取り組む必要があり、根深い習慣を変えるために「非常にハードな作業」とされています。
家族の役割
治療成功には家族の積極的な関与が不可欠です。幼児期では保護者が行動療法を直接監督し、家庭内の対立がトリコチロマニアの悪化要因となることもあるため、家族療法の導入が推奨されます。
