どの家系が脱毛を引き起こすのか?
男性に多く見られますが、脱毛や薄毛は性別を問わず起こります。薬剤、ビタミン不足、特定のシャンプー、偏った食生活、がん・糖尿病・狼瘡(ループス)などの疾患といった環境要因が根本原因になることもあります。まずは環境要因を除外し、遺伝的要因がどの程度関与しているかを見極めることが重要です。
男性型脱毛症(Male Pattern Baldness)
ニュージーランド皮膚科学会(DermNet NZ)によると、男性型脱毛症は遺伝性の疾患で、ジヒドロテストステロン(DHT)に対する感受性が原因です。DHTはテストステロンから体内で生成される男性ホルモンで、この感受性により毛周期の成長期が短縮され、毛包が細くなります。その結果、髪は細くなり抜けやすくなるのです。感受性は母方でも父方でも遺伝するとされています。
母親側に原因はあるのか?
最新の研究では、男性型脱毛症はどちらの親からでも遺伝する可能性が示されていますが、性染色体に関係する疾患であることから、母方に原因があるケースが多いとされています。米国国立医学図書館(National Library of Medicine)と国立衛生研究所(NIH)は「男性型脱毛は性連鎖形質で、母親から子へ受け継がれる」と指摘し、母方の祖父の脱毛状況を見る方が父方を見るより予測精度が高いと述べています。
X染色体が関与する理由(The X‑Factor)
女性も薄毛になることがありますが、男性はX染色体が1本しかないため、X染色体上の遺伝子が全て発現しやすくなります。男性は母親からX染色体、父親からY染色体を受け継ぐため、母方のX染色体が脱毛リスクを高める主要因と考えられています。これは、メルク社(Merck)も指摘するポイントです。
Sox21遺伝子の発見
日本の国立遺伝学研究所(National Institute of Genetics)の木曽誠博士らのチームは、Sox21遺伝子が毛包の固定に関与していることを発見しました。マウスからSox21を除去すると、毛髪が抜け落ち、最終的に全脱毛になることが観察されました。電子顕微鏡で確認したところ、毛髪を毛包に固定する構造が欠損していたことが分かっています。
遺伝だけが原因ではない(To Blame or Not to Blame)
遺伝子検査会社Decode Meは、脱毛には遺伝要因以外にも年齢や性別、生活習慣が大きく影響すると指摘しています。米国だけでも約3,500万人の男性が男性型脱毛症に悩んでおり、50歳以上の男性の半数以上が何らかの脱毛を経験しています。治療法は多数存在し、進行を遅らせることは可能ですが、加齢そのものを止めることはできません。まずは家系だけでなく、総合的に原因を探り、適切な対策を取ることが重要です。
