高齢者介護の課題
高齢者の介護は、施設に入所している場合でも、子どもたちのもとで自宅介護を受けている場合でも、多くの課題があります。最大の課題の一つは、症状を単に「年齢のせい」と片付けてしまうことです。40歳で肩の痛みが出たらしっかり検査しますが、高齢者になると同じ症状が老化と決めつけられがちです。
認知症
85歳以上の約50%が認知症を患っており、介護の中で最も深刻な問題の一つです。認知症は記憶力や判断力だけでなく、運動機能や日常生活の自立にも影響します。清掃、料理、金銭管理、着替えなどの基本的な動作ができなくなると、火災や感染症の危険が高まります。忘れやすさは危険信号と捉える必要があります。
失禁
膀胱機能の低下は脳卒中や認知症、アルツハイマー病などさまざまな原因で起こります。膀胱は自律神経が働くため、意識的にコントロールできなくなることがあります。施設では2時間ごとのベッドチェックが義務付けられていますが、チェック後20分で失禁した場合、1時間以上放置されることもあります。自宅でもおむつやパッドだけでは感染リスクを完全に防げません。
麻痺
脳卒中は「脳の発作」とも呼ばれ、血流が止まるか血管が破裂することで起こります。生存者は部位によって記憶、言語、嚥下、随意筋・不随意筋の機能障害を抱えることがあります。手が拳のまま固まると清拭が困難になり、指を開く際に痛みや抵抗を示すことがあります。
慢性疾患
糖尿病、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、視力低下など、管理が可能とされる慢性疾患でも介護には多くの困難が伴います。糖尿病患者はインスリン注射と血糖測定が必要で、食事制限が厳しくなります。傷の治癒が遅く、切り傷が感染につながりやすいです。COPDは酸素供給が不安定になり、暑さや湿度で症状が急変します。視力低下は転倒リスクを高め、周囲の安全確保が重要です。
介護者のリスク
介護者自身もさまざまな危険にさらされます。体液への曝露はB型肝炎やブドウ球菌感染のリスクを高めます。HIV感染者との接触も注意が必要です。認知症患者が排泄物を手にすることや、口に含んだものを吐き出す行為は、介護者の手指に汚染をもたらします。また、患者の転倒や激しい抵抗により、介護者は背部を負傷しやすく、適切なリフトやサポート技術が不可欠です。
