なぜ子どもが対象になるのか

小児は「小さな大人」ではありません。米国小児科学会の元会長で小児科医のレネー・ジェンキンス博士は、子どもの身体は成人と異なるため、成人の研究結果だけで治療方針を決めることはできないと指摘しています。米国国立心肺血液研究所(NHLBI)は、子どもを対象とした臨床試験が、適切な投薬量の設定や、子どもと大人の両方に発症する疾患の治療法、さらには小児特有の疾患の治療法の開発に不可欠であると述べています。

安全性は確保されているのか

親は、臨床試験が子どもの健康を損なうリスクを懸念します。米国保健福祉省は、子どもが参加する臨床試験を保護するためのガイドラインを策定しており、リスクは最小限に抑え、得られる成果は子ども自身または医学研究にとって有益であることが求められます。さらに、保護者は子どもの参加を拒否する権利を持っています。

家族へのメリット

子どもを臨床試験に参加させる前に、保護者はどのような利益があるか知りたがります。NHLBIによれば、臨床試験に参加することで子どもは新しい薬や治療法へのアクセスが得られ、病状や治療効果に関する最新情報を受け取れます。また、通常の医療環境よりも厳密にモニタリングされるため、病状の変化に早く対応できる点も大きな利点です。時には、臨床試験で初めて有効性が確認された治療を受けられることもあります。

医学全体への貢献

デューク大学医療システムのデイビッド・ベンジャミン博士は、子どもを対象とした臨床試験が多くの命を救ってきたと述べています。100年前は6人に1人が5歳に届かず、白血病はほぼ致命的でしたが、臨床試験のおかげで白血病の生存率は劇的に向上しました。ポリオの根絶や、早産児の呼吸管理法の確立も、子どもを対象とした研究の成果です。