レンチウイルスを用いた遺伝子導入プロトコル
米国と欧州の研究者は、変異したALD遺伝子が原因で若年男性に致命的な脳疾患である副腎白質ジストロフィー(ALD)を治療するため、レンチウイルスを用いた画期的な臨床試験を実施しました。レンチウイルスは正しいALD遺伝子を2人の患者に届け、2009年に疾患の進行が止まったことが発表されました。
レンチウイルスとは
- レンチウイルスはRNAを遺伝情報とするレトロウイルスです。感染した細胞内でRNAが逆転写酵素によりDNAへ変換され、宿主のゲノムに組み込まれます。細胞はこのDNAを複製し、次々に新しいウイルス粒子を産生します。
ウイルスの改変
- 研究者はウイルスを改変し、ウイルス自身の遺伝子ではなく治療用遺伝子(例:ALD遺伝子)を細胞に導入できるようにしました。ウイルス構造タンパク質遺伝子はプラスミドに組み込み、別のプラスミドに治療遺伝子を配置します。
トランスフェクション(導入)
- 改変プラスミドを塩やリピッドと混合し、細胞内へ取り込ませます。細胞はウイルス構造タンパク質を産生し、自己組み立てでウイルス粒子を形成します。各粒子はALD遺伝子を含むRNAを搭載し、培養液中に放出され、遺伝子治療用に回収されます。
主な利用例
- 研究や産業分野で細胞改変ツールとして広く利用されています。例えば、インスリンを大量に産生する細胞や、細胞追跡に用いる緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現させた細胞の作製などがあります。
