ユニバーサルヘルスケアの議論とそのメリット
ユニバーサルヘルスケアとは、政府がすべての国民に医療サービスを提供する制度です。2010年時点で、南米の一部、カナダ、西ヨーロッパ、ロシアなどは全国民に医療保険を実施していますが、米国は未導入です。
医療は人権である
多くの専門家は、医療へのアクセスは基本的人権であり、政府はそれを保障すべきと主張しています。米国医学生協会(AMSA)によれば、先進国の中で米国だけがユニバーサルヘルスケアを持たない唯一の国です。その背景には、医療を「特権」と捉える米国の姿勢があります。1948年の国連人権宣言は、すべての人が健康で福祉な生活を送る権利を有すると規定していますが、米国はこの条項を十分に実現できていません。
公衆衛生の向上
ユニバーサルヘルスケアが導入されれば、無保険者が医療を受けられるようになり、国全体の健康水準が向上します。米国だけでも2008年に約4,630万人が保険未加入でした。未加入者は予防医療を受ける確率が保険加入者の50%にとどまり、病状が重くなるまで医療を受けない傾向があります。予防検診(子宮頸がん検査、前立腺検査、乳がん検診、血圧・コレステロール測定など)を受ける機会が増えることで、慢性疾患の発症が抑制され、結果として公衆衛生が改善します。
不要な破産の回避
予防医療の普及により重症化や長期入院のリスクが減少し、医療費の急激な増大を防げます。米国では医療費が原因で毎年約150万人が破産し、その半数が医療費負担によるものです。保険料は2000年から2005年の間に73%上昇しており、雇用喪失時に保険も失うため、医療費の支払いが困難になりやすい状況です。ユニバーサルヘルスケアがあれば、失業や収入減少時でも医療サービスを受け続けられ、破産リスクを大幅に低減できます。
まとめ
ユニバーサルヘルスケアは、健康を基本的人権として保障し、公衆衛生を向上させ、医療費による破産を防ぐ重要な制度です。多くの先進国が実施している中、米国でも導入の議論が高まっています。
