OECD加盟国における医療費の最新動向
経済協力開発機構(OECD)は、加盟国33か国とその他100か国に対し、経済政策や市場経済の実務を支援するための調査・分析を行っています。最新の分析によると、加盟国全体で医療費は上昇傾向にあり、今後も増加が予測されています。高齢化の進行、医療制度の変化、技術革新、利用される医療サービスの種類といった要因が、医療費増大の主なドライバーです。医療費の伸びは経済成長率を上回っており、医療制度改革や財源確保(増税や他分野の削減)が必要とされています。
公的・民間支出の医療費トレンド
OECD諸国では、医療費は公的資金と民間資金の組み合わせで賄われています。民間資金は個人負担、民間保険、雇用主などが提供し、総医療費の約2割が民間資金です。そのうち、自己負担(out‑of‑pocket)は約3分の2を占め、民間保険は5〜6%にとどまります。
多くの国で政府が医療費の大半を負担しており、2008年のデータでは全体の約16%が政府支出です。フランス、ドイツ、ノルウェー、スペインなどは公的・社会保険の比率が高く、米国やメキシコを除くすべてのOECD加盟国で公的支出が主流です。近年、一部の国は公的支出を抑制し、逆に増やす国もあり、支出構造の収束が見られます。
公的資金は主に入院医療や医薬品に使われ、民間資金は外来診療や歯科治療に多く利用されています。カナダ、メキシコ、ポーランド、米国では医薬品の購入費用が民間支出に偏る傾向があります。
医療技術と医療費のトレンド
CTやMRIといった高度医療機器の利用拡大は、医療費上昇の大きな要因です。2010年のデータでは、MRIの利用率はOECD諸国で倍増しており、CT装置は人口100万人あたり約24台が設置されています。ギリシャ、イタリア、日本、米国はMRI利用が特に高く、カナダ、フランス、オランダは比較的低いです。オーストラリア、韓国、米国はCT利用が他国より多い傾向にあります。
短期・長期医療サービスのトレンド
入院医療と外来医療の比率は国によって大きく異なります。オーストラリアやフランスでは医療費の3分の1以上が入院に充てられますが、ポルトガルやスペインでは4分の1未満です。
長期介護費用はデンマーク、ノルウェー、スイスで全医療費の約4分の1を占めますが、韓国やポルトガルは家族中心の非制度的介護が主流で、支出は少なくなります。
外来手術の増加は、白内障除去やヘルニア修復といった手術が日帰りで行えるようになった技術進歩によるものです。
医薬品費用のトレンド
OECD諸国の医薬品費用は医療財の約20%を占め、国によっては11〜38%と幅があります。新薬の登場と高齢化が費用増加の主因です。2007年の医薬品支出は全医療費の15%に相当し、過去10年間で一人当たり費用は約50%上昇しました。米国が一人当たり医薬品費用でトップに立ち、カナダとギリシャが続きます。一方、メキシコ、ポーランド、ニュージーランドは最も低い支出です。公的資金は平均60%の医薬品費用を賄い、カナダと米国では40%未満、ギリシャでは80%に達します。カナダと米国で医薬品費用の伸びが最も顕著です。
予防と健康支出のトレンド
OECDは予防・公衆衛生活動が医療費全体の約3%を占めると推計していますが、治療費のカテゴリーに埋もれがちです。予防プログラムは個別に把握しにくいものの、長期的には医療費削減に寄与すると期待されています。
