ヘルスケア分野における需要と供給
はじめに
多くの産業では供給と需要が一致すると経済的均衡が保たれ、すべての関係者が満足します。しかし医療分野では均衡は実現できません。医療サービスへの需要は常に供給を上回り、どの国でもすべての国民に必要な医療を提供しきれません。
供給
医療サービスの提供には有形・無形の資源が必要です。無形資源はベッド、診療所・病院の建物、医師や看護師の時間、使い捨て注射器やカテーテル、メス、資金、包帯などです。有形資源は臓器、血液、皮膚組織、移植用臓器などの生体材料です。患者一人の治療には、これらすべての資源が同時に、同じ場所で揃って初めて可能になります。
需要
患者の病状と治療には、上記の有形・無形資源がすべて必要です。必要な資源がタイムリーに揃えば患者は治療を受けられますが、たった一つでも欠ければ医療ニーズは満たされません。
均衡の不在
需要は無限に近く、供給は限られているため、資源はすぐに枯渇し、治療を受けられない患者が出てきます。各国はどの資源をどのように配分するか、またどの患者を優先的に治療するかを選択せざるを得ません。
役割と影響
米国のような自由市場では、患者への医療提供は法律、競争、保険契約、医療機関、製薬会社、地理的条件、人口構成、営利・非営利の区別など多様な要因で決まります。政府は立法と規制を行い、医療提供者は「誰に」「いつ」どの条件で治療するかを決めます。
一部の医師や製薬会社は需要を人工的に増やし、資源の再配分や流用を引き起こすことがあります。その結果、必要のない医療が行われ、他の患者の治療が遅れ、過早死亡が増える可能性があります。利益追求による操作を制限する国もあります。
患者の選択と責任
患者の治療要求は資源の消費につながります。同じ資源を二人の患者が同時に利用することはできません。ある患者の選択は他の患者の利用可能な資源に直接影響します。したがって、患者は自分の治療と隣人の未治療リスクを天秤にかけて、慎重に受診を決める必要があります。
公平かつ十分な資源配分を実現するためには、患者自身が自らのニーズだけでなく、社会全体の医療需要を考慮した行動が求められます。
