コンピュータ化医療記録のメリットとデメリット

個人情報の共有には慣れている人が多い一方で、健康情報が電子データベースに保存されることへの不安も根強いです。2009 年に成立した刺激策に基づき、米国全体の医療記録を統合した国家データベースが導入される可能性が指摘されています。コンピュータ化された医療記録には、利点と課題の両方が存在します。

プライバシーへの懸念

  • 電子化された記録はハッキングや情報漏洩のリスクが高まります。例として、ロシアのハッカーが気候科学者のデータベースに侵入した「Climategate」事件が挙げられます。医療情報が流出すれば、保険詐欺や不正利用が容易になる恐れがあります。

    また、政府が管理する大規模データベースは、性別・民族・既往症などの個人属性を一括で把握できるため、監視社会化への懸念も指摘されています。

差別のリスク

  • 雇用主が応募者の医療記録を参照し、健康状態を理由に採用を拒否するケースが懸念されています。信用情報のチェックが一般化したように、医療情報が新たな評価基準になる可能性があります。

    James M. Humber と Robert Almeder の『Privacy and Healthcare』によると、米国の Fortune 500 企業の 3 分の 1 以上が医療記録を採用判断に利用しており、実際に癌患者の融資が中止された例も報告されています。

即時情報提供のメリット

  • 医師は紙ベースの診療記録を探す手間と時間を削減できます。緊急時に患者の過去の診療履歴やアレルギー情報を瞬時に閲覧できることは、生死を分ける重要な要素です。たとえば、意識不明の患者の記録をすぐに確認し、特定の薬剤に対するアレルギーがあることが分かれば、誤投与を防げます。

コスト削減効果

  • 初期投資は高額ですが、長期的には大幅なコスト削減が期待できます。書類保管スペースの削減や検査回数の減少、処方ミスの低減などが主な要因です。

    National Academy of Engineering と Institute of Medicine の『Building a Better Delivery System』によれば、米国の Brigham and Women’s Hospital は電子カルテ導入により年間 5〜10 万ドルの削減に成功しています。

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