車椅子の盗難防止装置
病院や医療施設では、車椅子が盗難に遭うケースが毎年数百件報告されています。盗難は意図的なものだけでなく、患者が自宅に持ち帰ってもよいと勘違いして外出してしまう「誤搬出」も含まれます。いずれにせよ、病院にとっては財政的負担となり、患者にとっては大きな不便です。このような問題に対処するため、近年は様々な盗難防止装置が導入されています。
IVポール
最もシンプルな防止策のひとつが、車椅子に組み込まれたIVポールです。高さ約1.8メートルのポールは、患者が点滴を受けながら移動できるようにする機能と、車椅子を自動車のトランクやSUVの後部に積み込むことを物理的に阻止する役割を持ちます。
セキュリティバー
別名「盗難防止バー」とも呼ばれるこの装置は、車椅子が折りたたまれるのを防ぎ、使用時の設定状態でロックします。標準的なバーは車椅子の下部に取り付ける一本の金属棒ですが、上部に二本の縦棒と横棒を組み合わせた「オーバーヘッドバー」もあります。これにより車椅子はかさばり、車への搬入が困難になります。また、MRI室でも使用できるように、非鉄金属(アルミニウム等)で製造されたものもあります。
位置追跡システム
IVポールやセキュリティバーだけでは完全に防げない場合、車椅子に送信機を装着し、病院内に設置したセンサーと連携させる方法があります。送信機は車椅子がセンサーを通過したり、長時間同じ場所に留まったりすると情報を中央システムに送信し、リアルタイムで位置を把握できます。さらに、特定のエリア(出口など)を通過するとカメラが作動したり、警報が鳴るタイプのシステムもあります。
アクチュエータ
アクチュエータは車椅子の「イグニッションシステム」と言える仕組みです。専用のキーカードをスワイプすると、車椅子の車輪を固定しているクランプが解除され、使用可能になります。使用しないときはクランプが車輪を固定し、移動できないようにするため、無断での持ち出しを防止します。
これらの対策を組み合わせることで、車椅子の盗難リスクを大幅に低減でき、病院の資産保護と患者の安全確保につながります。
