アメリカの病院における医療動向

21世紀後半に議会を通過した主要法案により、医療改革が米国の意識の最前線に位置付けられています。医療環境の急激な変化に伴い、病院運営の根底にある構造も大きく変わりつつあります。本稿では、現在進行中の重要なトレンドを四つのテーマに分けて解説します。

ホスピタリスト(Hospitalist)

ホスピタリストとは、入院中の患者に専門的治療を提供する医師で、外来診療は行いません。1996年のカリフォルニア大学医学部報告書(R.M. Watcher・L. Goldman)によると、医療費圧迫や入院医療の複雑化、プライマリケア医師の時間不足が背景にあり、従来の地域医師や学術医師に代わってホスピタリストが増加しています。21世紀第2の十年に入ってもその勢いは止まらず、病院内の診療体制を大きく変えています。

臨床統合(Clinical Integration)

臨床統合は、患者を取り巻く全ての医療提供者が情報と責任を共有し、診療の連続性を確保する仕組みです。患者が施設を移動しても、医師と病院が協働してケアを提供できるため、効率と患者中心の医療が向上します。一方で、反トラスト法やキックバック規制といった法的ハードルも存在します。米国病院協会(AHA)によれば、臨床統合は2000年代後半に顕著なトレンドとして浮上しました。

コストコントロール(Cost Control)

1990年代後半、HMOs(健康保険組合)は病院・医療業界に対する支配力を失い、医療提供者側に交渉力が戻りました(Hospital Review Magazine)。ヘルスケア財務管理協会(HFMA)のディック・クラーク会長は「交渉力が再び提供者に戻った」と指摘しています。医療費はインフレ率を上回る速度で上昇し続け、提供者は価格抑制に追われています。

患者安全(Patient Safety)

1999年の米国医学研究所(Institute of Medicine)報告書は、入院医療のエラーにより年間44,000〜98,000人が死亡していると結論付けました。この結果を受け、病院は治療の質と安全性に注力するようになりました。米国医療経営者協会(ACHE)会長トーマス・ドラン氏は、「安全性への取り組みは品質向上と同時に、無駄削減によりコスト低減にもつながる」と述べています。費用増大が続く中、効率化は重要な潮流です。

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