ヘキサバレントクロム(Cr(VI))の検査方法

重要性

ヘキサバレントクロム(Cr(VI))は、塗料・染料・防錆剤などの製造工程で使用される有害な化学物質です。ポルトランドセメント中に混入することもあり、作業現場の粉塵として拡散しやすく、溶接、冶金、建設、塗装、製造業など幅広い職種の労働者が曝露リスクにさらされます。汚染が疑われる場所では、Cr(VI)の有無を確実に確認することが必須です。

健康への影響

Cr(VI)は皮膚に火傷を起こすほか、目や呼吸器粘膜を刺激し、組織損傷を引き起こします。皮膚に長時間接触すると潰瘍や接触皮膚炎が生じ、繰り返し曝露すると症状が悪化します。また、Cr(VI)は発がん性が疑われる物質です。

専門家の見解

米国労働省(DOL)が策定した Cr(VI) の検査法は、シンプルな「拭き取りテスト」に基づきます。直径 37 mm、孔径 5 µm のポリ塩化ビニル(PVC)フィルター紙、または同サイズのバインダーなし石英繊維フィルターを使用し、対象表面をしっかりと押し当てて拭き取ります。

OSHA のガイドラインでは、クロムめっき作業場で採取したサンプルは、採取直後に 5 ml の 10 % Na₂CO₃ + 2 % NaHCO₃ 水溶液が入ったバイアルに入れ、酸による干渉を防止します。代替として、1 % NaOH でコーティングしたバインダーなし石英繊維フィルターも使用可能です。

分析は、サンプルを複数の緩衝液で消化し、希釈後にイオンクロマトグラフィーで Cr(VI) を 1,5‑ジフェニルカルバジドで誘導体化し、540 nm の UV‑vis 検出器で測定します。

検査手順

OSHA が指定するフィルターペーパー以外は使用しないこと、作業時は必ず保護手袋を着用することが前提です。

  1. 上記のフィルターペーパーを用いて、対象面を均一な圧力で拭き取ります。
  2. サンプルが付着した面を内側に折り、バイアルに収まるようにします。
  3. バイアルを密封し、採取場所と日付をラベル付けします(例:A‑2024/04/15)。
  4. ノートにサンプル名、採取日、採取場所、拭取面積の概算を記録し、後の濃度算出に備えます。
  5. 複数箇所を調査する場合は、同一手順を繰り返し、手順の一貫性を保ちます。

大気中の Cr(VI) 濃度測定は別途専門的な装置と手法が必要で、本稿の範囲外です。

注意事項

ヘキサバレントクロムは極めて有毒です。サンプル採取時は必ず保護手袋・保護眼鏡、必要に応じて呼吸用防護具を使用してください。手袋で触れたものはすべて「汚染物」とみなし、清潔な手でバイアルに入れ、汚染された手袋は裏返して安全に処分します。

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