DDTの忌避作用とその歴史的影響

DDTとは

DDTは19世紀後半に開発され、第二次世界大戦中にマラリアやチフスといった蚊媒介疾患の防除に初めて使用された殺虫剤です。1945年までに農業用殺虫剤として広く販売されるようになり、農作物の害虫駆除にも利用されました。神経細胞のナトリウムイオンチャネルを開口させて神経の過剰興奮を引き起こし、痙攣と死に至らせる仕組みです。土壌に強く吸着し、使用後30年近く残存することがあります。

効果的な忌避剤としての利用

1955年、世界保健機関(WHO)はマラリア根絶を目指してDDTの使用を強く推奨しました。東アジア、カリブ海地域、バルカン半島、北アフリカ、オーストラリア、南太平洋などで大きな効果を上げましたが、広範な使用により蚊が抵抗性を獲得し始めたことが明らかになりました。

懸念の高まり

農作物への大量散布が進むにつれ、DDTの毒性に対する公衆衛生上の懸念が高まりました。米国で行われた調査では、ハクトウワシの卵がDDT摂取により脆くなり、繁殖に支障を来すことが確認されました。

規制と禁止の経緯

1968年にハンガリーが最初にDDTを禁止し、続いて1970年にノルウェーとスウェーデン、1972年に米国、1984年にイギリスが禁止措置を取ります。一方で、病媒蚊のコントロール目的での使用は現在も一部の国で認められています。

毒性と影響を受けた生物

DDTは体脂肪に蓄積し、長期間体内に残ります。これまでに影響が報告されている主な生物は以下の通りです。
1. クルミガニ
2. ダフニア(淡水プランクトン)
3. 海老
4. 猫
5. 両生類
6. ハクトウワシ
7. ヒメウミツバメ
8. ハヤブサ
9. カミツキヌガイ
10. 水鳥全般
11. 鳴き鳥類
12. 人間

人間に対する主な健康影響としては、早産・流産・低体重児、精子の質低下、さまざまながんのリスク増加が報告されています。

DDTとマラリア対策

現在、DDTは主にマラリアを媒介する蚊の駆除に利用されています。WHOは特にアフリカのマラリア流行地域で、住宅内スプレーによる使用を推奨しています。ただし、DDTの副作用が続く限り、代替農薬の使用が可能な地域ではそちらが優先されます。その他のマラリア防除策としては、蚊帳や網戸の設置、蚊食魚の導入、停滞水の排除などが挙げられます。

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