定性的健康研究手法
Denzin と Lincoln は、定性的研究を「自然な環境で事象を観察し、人々が付与する意味に基づいて解釈する研究」と定義しています。対照的に、定量的手法は数値データの収集と分析に焦点を当てます。近年、家族計画、熱帯病、緩和ケア、薬剤師の職務満足度など、幅広い健康分野で定性的手法が活用されており、特に公衆衛生や国際開発の領域で重要視されています。
定性的手法が選ばれる理由
- 研究対象がほとんど知られていない場合に探索的にアプローチできる。
- 感情的・感覚的に深いテーマを扱う際に、参加者の lived experience( lived experience) を捉えられる。
- プログラム評価において、実施障壁や効果測定を質的に把握できる。
観察法
- 自然環境(例:病院外)で人々の日常行動を記録し、直接的な介入や事前知識を最小限に抑える。
- 参加観察は、人類学的フィールドワークに由来し、研究者がコミュニティに参加しながら内部視点と外部視点の両方で意味を探求する。
インタビュー法
- 半構造化インタビュー:全参加者に同一のオープンエンド質問を提示し、比較可能なデータを取得。
- 深層インタビュー:対象者の視点を鮮明に描写し、テーマに関する深い洞察を引き出す。
- キーパーソンインタビュー:研究テーマに専門的知見を持つ参加者(key informant)から情報を収集。
- フォーカスグループ:参加者を集めて議論させ、グループダイナミクスや共通認識を把握する。
内容分析(コンテンツ分析)
- 文書や音声・映像記録、フィールドノートなどから語句や概念を抽出し、相互関係を評価する手法。
- 定量的に数えることもあるが、健康研究では質的観点からテーマのパターンや意味を解釈することが主流。
- 研究目的で作成されていないケースヒストリーや公衆衛生教材なども分析対象になる。
混合方法論(Mixed Methodology)
- 同一研究で定性的手法と定量的手法を組み合わせ、単独では得られない包括的かつリッチな知見を導く。
