HGH(ヒト成長ホルモン)使用のリスク
ヒト成長ホルモン(HGH)は脳下垂体で自然に分泌されるホルモンです。医療現場では成長障害や小児の矮小症の治療に用いられますが、近年は「アンチエイジング」目的での注射が急増しています。米国アンチエイジング医学会は脂肪減少、筋肉・骨密度増強、老化抑制を謳っていますが、必要のない人が乱用すると深刻な健康リスクが生じます。
筋肉・関節の不快感
- HGH治療を開始した患者の約半数が筋骨格系の痛みや違和感を訴え、約25%が手足のむくみや水分貯留を経験します。カーパルトンネル症候群になることもあり、多くは時間とともに軽減しますが、症状が重い場合は治療中止が必要です。
成長障害
- 過剰なHGH投与は、巨人症や先端肥大型症(アクロメガリー)といった成長障害を引き起こす可能性があります。特に成長期の子どもやティーンは自然に分泌量が多いためリスクが高く、頭蓋骨の拡大、手足・顎・舌の異常肥大、内臓(心臓・肝臓・脾臓)の肥大などの症状が現れます。
女性化乳房(男性の乳房肥大)
- ホルモンバランスの乱れにより男性に脂肪性乳腺が形成される状態です。研究では、低HGHの男性26名に合成成長ホルモンを投与した結果、4名(約15%)が女性化乳房を発症しました。合成HGHの泌乳作用が原因と考えられています。
がんリスク
- HGHは肝臓でインスリン様成長因子‑1(IGF‑1)を増加させます。IGF‑1濃度の上昇は乳がん、前立腺がん、結腸がんなどのリスク増大と強く関連しており、わずかな上昇でもがん発症リスクは最大700%上昇します。さらに、IGF‑1は既存の小さながん細胞の増殖や化学療法への抵抗性を高めます。
以上のように、HGHの不適切な使用は深刻な健康被害を招く可能性があるため、医師の指導のもとでのみ使用すべきです。
