IRB委員長の職務記述書

インスティテューショナル・レビュー・ボード(IRB)は、米国連邦政府が臨床研究を行う医療機関や研究施設に設置を義務付けている委員会です。病院、大学、研究所などが複数のIRBを保有することがあります。IRBは、ヒトを対象とした研究に参加する被験者の権利と福祉を保護することを使命とし、連邦・州の規制に従って研究計画の審査・承認・修正指示・継続的モニタリングを行います。

IRBの背景

ヒト被験者の保護に関する制度は、ナチス・ドイツの人権侵害への対応として初めて法典化されました。現在のIRB制度は、米国連邦規則(45 CFR Part 46)に基づき1974年に制定され、連邦政府が支援する米国内外のヒト対象研究すべてを対象としています。1978年のベルモント報告書は、さらに倫理的指針を示しました。

委員長の選任と要件

IRB委員長は、機関の認定官(研究・IRB機能を監督する職員)または全IRB、あるいはIRBの運営委員会によって選出されます。委員長は、科学的・非科学的なバックグラウンドを持つことが許容され、機関内部または地域社会から選ばれます(機関職員や退職者が必須とされる場合もあります)。

特定の学歴要件は設けられていませんが、医療研究に関する十分な知識と、提案書を読解・評価できる能力が求められます。また、連邦・州・機関の規則や倫理問題に関する深い理解が必要です。利益相反のチェックが行われ、委員長は職員またはボランティアとして勤務形態が決まります。

追加資格

委員長は、機関内外で尊敬される人物であり、公正かつ公平にIRBを運営できることが求められます。研究者からの不当な圧力に屈しない強さも必要です。優れた対人スキルで信頼関係を築き、会議の司会・議論の整理・意思決定を迅速かつ徹底的に行えることが期待されます。機関のIRB担当者やスタッフとの連携も重要です。文書・口頭での高いコミュニケーション能力と、倫理・道徳観の高さは不可欠です。

ストレスや時間的プレッシャーの中でも冷静に判断し、迅速かつ十分な審議を行う能力が必要です。研究者と直接対話し、影響力の行使を防ぎつつ、ベルモント報告書が示す倫理原則(尊厳と自律性の保護、善行・危害回避、正義の公平配分)を遵守します。

委員長の役割

機関のモデルにより役割の範囲は多少異なりますが、ここでは委員長がIRBの全業務に積極的に関与する前提で説明します。

  • 全体会議の司会・議論の指導・研究提案の審査・投票
  • IRBの方針・手続きを策定・見直し
  • 必要に応じてサブ委員会の指揮
  • 提案書の読解、課題抽出、討議の促進
  • IRBメンバーとして投票
  • 限定的なメンバーでの迅速審査(エクスピダイトレビュー)実施
  • メンバーへの不当な影響や強要があった場合の報告
  • 委員会運営上の問題解決、未解決事項は機関へエスカレーション

IRBスタッフとの連携

委員長は機関の認定官やIRBスタッフと協働し、以下を実現します。

  • メンバー構成・会議記録・決定事項・研究プロトコルの正確な管理
  • 多様な機関・地域代表者を含む適切なメンバー選定と利益相反の審査
  • 会議前の準備・必要な研修の実施
  • 研究者や規制当局など外部関係者へのIRBの代表としての情報発信
  • 機関・IRBポリシーに基づく評価・監査の実施
  • 州・連邦規則、機関・IRBの定款に則った運営の確保

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