PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)の基本
PCRの概要
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、DNAを増幅するための手法です。DNAポリメラーゼという酵素を利用してDNA複製を触媒します。1984年にカリー・ムリスが開発し、1993年にノーベル化学賞を受賞しました。
PCRの応用例
主な利用例としては、DNA指紋鑑定(DNA断片を抽出し、既存データと比較する)、ごく少量のサンプルからの解析(絶滅した生物や歴史上の人物のDNA復元を可能にする)、疾患診断(ウイルスDNAやがん研究)などがあります。
PCRの構成要素
PCR反応に必要な材料は以下の通りです。
- 増幅対象となるゲノムDNA(テンプレート)
- 相補的な配列を持つ2本のプライマー(前方プライマーと逆方向プライマー)
- 反応液(Taqポリメラーゼとバッファーを含む)
- Taq酵素の基質となるヌクレオチド(dNTP)
PCRの手順
反応は以下の3つのサイクルを繰り返すことで進行します。
- 変性(Denaturation):高温にしてDNA二本鎖を分離させる。
- アニーリング(Annealing):温度を下げ、プライマーがテンプレートDNAに結合させる。
- 伸長(Extension):Taqポリメラーゼがプライマーに結合し、自由ヌクレオチドを取り込みながらDNA鎖を合成する。
このサイクルを多数回繰り返すことで、目的のDNA配列が指数関数的に増幅され、実験に必要な量まで増やすことができます。
PCRの段階
増幅過程は大きく3段階に分類されます。
- 増幅期(Amplification):DNAが指数関数的に増える。
- レベルオフ期(Level‑Off):Taqポリメラーゼの活性が低下し、増幅速度が鈍化する。
- プラトー期(Plateau):反応系が飽和し、これ以上の産物は生成できなくなる。
