金属仕上げ用パウダーコーティングがもたらす健康リスク

エポキシ樹脂系の金属仕上げパウダーは、屋外家具や自動車部品、オフィス機器、棚、家電などに耐久性のある保護層を形成します。主成分はトリグリシジルイソシアヌレート(TGIC)で、世界各国で様々なブランド名で販売されています。

皮膚・眼の障害

  • オーストラリアのICI Dulux社とニューサウスウェールズ州のWorkCover当局の報告によると、TGIC粉体コーティングを扱う作業者の一部が皮膚の発疹やアレルギー性皮膚炎を発症しました。パッチテストにより、これらの症状はTGIC粉体が原因であることが確認されています。また、粉塵への曝露により眼の刺激や損傷のリスクも指摘されています。

遺伝子毒性

  • 1991年のオーストラリアの動物実験では、高用量のTGICが遺伝子に損傷を与える可能性が示されました。一方、低用量の試験では同様の効果は観察されませんでした。この結果は、TGICが遺伝子変異を誘発し、潜在的な発がん性を有する可能性を示唆していますが、ヒトで同等の高用量を再現することは現実的ではありません。

経口・吸入による重大な危険性

  • 金属仕上げパウダーは吸入または誤飲すると有害です。オーストラリアの工場労働者を対象とした調査では、喉や鼻腔の刺激といった呼吸器症状が報告されています。さらに、ラットに高濃度の粉体を経口・吸入させた実験では、肺や肝臓に損傷が確認されました。

ヒトへの毒性に影響する要因

  • 毒性の程度は、曝露量、使用する粉体の種類・毒性、個々人の感受性に左右されます。多くの研究は動物実験に基づいており、実際の作業環境での曝露レベルは通常、実験で用いられたレベルよりはるかに低く設定されています。

職場での安全推奨策

  • オーストラリアと日本の粉体コーティング現場の調査結果を踏まえ、オーストラリアのNICNAS(国家産業化学物質通知評価制度)は、作業者が眼・皮膚保護具や適切なマスク/エアフードを使用し、粉体粒子の吸入を防止することを推奨しています。自動化装置の導入により人的接触を減らし、作業場全体に排気システムを設置して粉体を速やかに排除することが重要です。

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