馬の前肢・後肢懸垂靭帯炎(サスペンシリー・デスミティス)の概要と対策

原因

馬は長期間にわたる繰り返しの負荷で、靭帯部に小さな裂傷が生じやすく、瘢痕組織が形成されます。高い障害物を跳ぶ競技や、前肢に過度な負荷がかかるエリートジャンパーでは、単発の大きな外傷が起こることもあります。また、湿った滑りやすい路面を頻繁に歩くと、腱や靭帯の損傷が増加します。

主なリスク

懸垂靭帯炎は競走生活だけでなく、馬の寿命全体に影響を及ぼす深刻な疾患です。遺伝的素因が関与するケースも多く、予防が難しい点が特徴です。回復に長期間を要し、場合によっては生涯にわたる障害となることがあります。

事実

瘢痕組織は正常な靭帯ほど強くないため、再発しやすくなります。進行性のケースでは、馬は元の運動能力を取り戻すことが困難です。特に後肢の損傷では、回復して再び仕事に復帰できる馬は全体の20〜40%にとどまります。

診断

獣医師はまず馬の歩行様式を観察し、必要に応じて超音波検査を行います。病変は微細であるため、高解像度の画像が必要です。診断時には、損傷側と健側の両方を比較することが推奨されます。懸垂靭帯炎はしばしば腸捻転(コリック)と誤診されることがあります。

治療

基本的な治療はスタル休養とリハビリテーションです。回復が見込めない場合は引退が検討されます。正確な診断に基づき、ステロイド注射や、神経切除術(ネウレクトミー)、筋膜切開術(ファシオトミー)といった外科的手術が行われます。近年では、骨髄由来の幹細胞を用いた注射療法も注目されています。

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