内視鏡の消毒手順と必要な備品
内視鏡は光源とカメラを備えた柔軟なチューブで、医師が消化管内を観察し、組織採取や止血、ポリープ除去などを行うことができます。再利用が前提の高度な医療機器であるため、適切な再処理と感染管理が不可欠です。米国消化器内視鏡学会(ASGE)のガイドラインに従うことで、感染リスクは1,000万件につき1件程度にまで低減されています。
必要なもの
- 保護具:手袋、フェイスシールド、呼吸用マスク、ガウン
- メーカー推奨の洗浄材料:洗剤、ブラシ、溶剤、清水
- 浸漬用バケツまたはトレイ
- タイマー
- メーカー指定の特殊ブラシ
- 高レベル消毒剤
- イソプロピルアルコールまたはエチルアルコール
- 強制送風式乾燥装置
- メーカーの取扱説明書
- 清掃対象の内視鏡本体
手順
1. 予備洗浄(Pre‑Cleaning)
- メーカーの取扱説明書を熟読し、推奨される酵素系洗剤・浸漬時間・専用アダプタを確認する。
- 手袋・ガウン・フェイスシールド・呼吸用マスクを装着し、作業中のバイオハザードや薬剤から身を守る。
- 手術後できるだけ早く、内視鏡と付属部品の表面に付着した生体材料を、メーカー推奨の洗剤と拭き取り用クロスで除去する。残留した生体材料は乾燥・硬化し、消毒剤の浸透を妨げ、病原菌の増殖源となる。
2. 機械的洗浄(Mechanical Cleaning)
- 内視鏡を完全に分解し、部品ごとに洗浄できる状態にする。
- メーカー指定の酵素系洗剤を指示通りに希釈し、よく混合する。
- 洗剤を最低幅40 cm、奥行き20 cm以上の容器に入れ、内視鏡本体と全ての部品を完全に沈める。必要に応じて追加の洗剤または消毒剤を加える。
- メーカーが示す浸漬時間でタイマーを設定する。時間不足は洗浄不十分、過長は機器損傷の原因になる。
- 指定時間が経過したら、内視鏡と部品を容器から取り出す。機械的洗浄だけで生体汚染は平均99.99%除去できる。
- 自動内視鏡リプロセッサーを使用する場合は、取扱説明書に従って機器をセットする。
3. チャンネルの洗浄(Cleaning the Channels)
- メーカー製のチャンネル用クリーニングアダプタを使用し、指示通りに内部を洗浄する。
- 専用ブラシで各チャンネルをこすり、特に水噴射チャンネルなど特殊構造は忘れずに清掃する。
- ブラシがチャンネル表面にしっかり接触するようにし、残留物が残らないようにする。
- 清水で十分にすすぎ、洗剤残留が消毒剤と反応して染色や剥離を起こさないようにする。
- 使用した浸漬・すすぎ水は安全に廃棄し、再利用しない。
4. 消毒・滅菌(Disinfection / Sterilization)
- FDA認可の高レベル消毒剤で内視鏡を処理する。濃度・温度・接触時間はメーカー指示に従う。
- 消毒後は滅菌または濾過した清水で再度すすぎ、残留消毒剤を完全に除去する。残留は患者にアレルギー反応やアナフィラキシーを引き起こす恐れがある。
- チャンネルを70~90%のエチルアルコールまたはイソプロピルアルコールでフラッシュし、残留消毒剤を除去する。
- 強制送風式乾燥装置で完全に乾燥させ、水分による再汚染を防止する。
- 乾燥後は内視鏡を垂直に吊り下げ、キャップやバルブなど取り外し可能な部品は取扱説明書通りに保管する。
以上の手順を正確に守ることで、内視鏡の安全な再利用が可能となり、患者への感染リスクを最小限に抑えることができます。
