ベンゼンと多発性骨髄腫の関係

ベンゼンの特性

ベンゼンは揮発性有機化合物で、吸入や皮膚から容易に体内に取り込まれます。ガソリンや自動車の排気、たばこの煙にも含まれます。肝臓、腎臓、肺、心臓、脳などの臓器に影響を与えることがあり、主に肝臓のシトクロム酵素系で代謝されます。

多発性骨髄腫とは

多発性骨髄腫は、リンパ系・血液系に起因する悪性腫瘍で、骨髄に常在する形質細胞(抗体を産生するB細胞系統の一種)の異常増殖によって起こります。形質細胞が単クローン性タンパク質(抗体の一部)を大量に産生し、骨髄内に腫瘍が広がりますが、骨髄外の部位に転移することもあります。体細胞変異が形質細胞の制御不能な増殖を引き起こすことが原因とされています。

ベンゼンと多発性骨髄腫の関係

かつてベンゼンを含む炭化水素への曝露が急性骨髄性白血病のリスク増大と結びつくことが示されました。その後、ベンゼンが他の血液癌、特に多発性骨髄腫の発症にも関与することが多数の症例報告やシリーズ研究で明らかになっています。

ベンゼンの職業性曝露

1970年代以降、ベンゼンに長時間曝露された労働者における多発性骨髄腫の発生率を調査する研究が進められました。米国国立労働安全衛生研究所(NIOSH)は、作業者のベンゼン濃度を1ppm以下に抑えることを推奨しています。しかし、工業地域に住む住民は安全基準を超えるベンゼンやその誘導体に曝露している可能性があります。

予防策

ベンゼン曝露が多発性骨髄腫の危険因子であることを踏まえ、作業環境の改善や個人防護具の使用、さらには一般市民への情報提供など、曝露を最小限に抑える対策が必要です。

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