Enterobacter aerogenes(エンテロバクター・エロゲネス)の概要

細菌について

Enterobacter aerogenesは、腸内に常在するグラム陰性桿菌です。形態は棒状で、結晶紫染色に染まらないためグラム陰性と判定されます。外膜に脂質層を持ち、抗菌薬や染料に対する耐性が高いのが特徴です。またカタラーゼ陽性で、過酸化水素を水と酸素に分解します。実験では過酸化水素を加えて泡が出るか確認することで同菌の存在を簡易的に検出できます。

病理

健康な人の腸内に常在するため、通常は感染しませんが、免疫力が低下した新生児、老人、入院患者などでは呼吸器感染、皮膚・軟部組織感染、尿路感染、化膿性関節炎、菌血症などを引き起こすことがあります。まれに地域社会での感染例も報告されています。

頻度と死亡率

米国のSCOPEプロジェクトによると、Enterobacter属は院内感染の原因菌として2番目に多く、集中治療室(ICU)では血流感染の4.7%、ICU外では3.1%を占めます。長期入院やカテーテル、抗菌薬長期投与がリスク因子です。直接的な死亡原因になることは稀ですが、基礎疾患の悪化を加速させることがあります。

症状

呼吸器、尿路、皮膚の感染はそれぞれの部位で一般的な症状(咳、排尿障害、発赤・腫脹など)を示します。菌血症の場合は心拍数増加、呼吸数増加、発熱が見られ、重症例では血圧低下、ショック、最悪死に至ることがあります。

予防

免疫が正常な人には無害ですが、手指衛生や汚染物の適切な処理は重要です。特に病院など免疫抑制患者が多い環境では、清潔な医療器具の使用と適切な廃棄が求められます。また、抗菌薬の過剰使用は耐性菌の増加を招き、感染リスクを高めます。

食品腐敗

Enterobacter aerogenesは発酵過程で水素ガスを生成し、シロップや糖蜜の腐敗を引き起こすことがあります。ただし、衛生的に加工された食品で検出されることはまれです。

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