ヨードメトリック滴定の基礎と応用

ヨードメトリック滴定は酸化還元滴定の一種で、ヨウ素は有機・無機の多くの物質と直接反応する汎用試薬です。酸化剤や還元剤の量を正確に測定でき、ヨウ素/ヨウ化物反応は正逆両方向に利用できます。

標準ヨウ素溶液

ヨウ素は揮発性が高く水に溶けにくい元素ですが、過剰なヨウ化物と共存させるとヨウ化物イオン(I⁻)に溶解します。自由ヨウ素(I₂)を除去して濃度を安定させることで、実験で使用できる安定溶液が得られます。そのため、標準ヨウ素溶液はヨウ素をヨウ化ナトリウム溶液に溶解させて調製します。揮発性が高く調製が難しいため、硫代硫酸ナトリウムや酸化ヒ素で標準化します。

硫代硫酸ナトリウム溶液

純粋な硫代硫酸ナトリウムは比較的容易に調製できますが、結晶に含まれる結晶水は温度・湿度に大きく左右されるため、正確な濃度の決定が難しいです。硫代硫酸ナトリウム溶液はジクロム酸カリウムやヨウ化カリウムで標準化します。通常、pH が低めになるため、炭酸塩を少量加えて pH を7以上に保ち、測定精度を向上させます。

銅のヨードメトリック滴定

銅(II)イオンを還元して銅(I)イオンに変え、同時にヨウ化物を酸化してヨウ素を生成させる方法です。滴定には硫代硫酸ナトリウム溶液が用いられます。反応はアンモニア10〜15%と酢酸の緩衝系中で行い、必要に応じて銅チオシアン酸塩などの添加剤で銅(I)イオンの濃度を調整し、酸化力を高めます。また、他の酸化剤・還元剤が混入しないよう注意が必要です。

デンプンによる終点検出

ヨウ素は水にほとんど溶けませんが、微量でも黄色を呈します。滴定の終点ではヨウ素濃度が低下し色が薄くなるため判別が難しくなります。そこでデンプン溶液を加えると、ヨウ素とデンプンが青黒い複合体を形成し、微量のヨウ素でも明瞭に色変化が観測でき、正確な終点を検出できます。

誤差の要因

ヨードメトリック滴定では注意深い観察が不可欠です。ヨウ素は常温でも揮発しやすく、滴定中にフラスコを開けると濃度が変化します。また、作業を急ぐと手順を見落としやすく、測定誤差の原因となります。

公衆衛生 - 関連記事