不利な姿勢での溶接のコツ
不利な姿勢(水平・垂直・天井)での溶接は、重力や視界の問題が増えるため、正しい体勢と設定が重要です。以下に各姿勢別のポイントをまとめました。
基本のコツ
- 重力で溶接プールが自分側に引っ張られないよう、視界とスティックアウト(電極突出)を確保できる姿勢を選びます。MIG溶接の場合は電圧をやや下げ、ワイヤ供給速度を遅くするとプールが小さくなり制御しやすくなります。逆極性を使用すれば熱が電極先端に集中し、プールが早く冷えて作業が楽になります。
水平溶接(Horizontal)
- 作業角度は0〜15度に設定し、重力の影響を抑えます。適度な速度で細めのワイヤを使用すればプールが垂れ下がりにくく、金属供給量も適正です。隙間が大きい場合や多層溶接が必要なときは、往復編みビード(ジグザグ)を活用すると隙間埋めがしやすくなります。
垂直溶接(Vertical)
ダウン方向(Vertical Down)
- 溶接プールがアークの先行に追いつかず絶縁層になりやすいので、素早く前進する必要があります。厚さ約3/16インチ(約4.8mm)以下の冷間圧延鋼板を使用すると貫通が浅くなりスピードが上がります。薄板は焼き切れのリスクも低減します。
アップ方向(Vertical Up)
- 3/16インチ以上の熱間または冷間圧延鋼板を使用すればアークの貫通が深くなります。溝溶接を行う場合は、右‑中央‑左と横方向に移動させる三角形ビードを描く「サイド‑ツー‑サイド」手法が有効です。各側面で少し止めて金属が融合する時間を確保してください。
天井溶接(Overhead)
- 熱入力を抑え、編み幅を狭く保つことが重要です。プールが小さくなるほど金属がジョイント内に留まります。自分が溶接プールの下に入り込まない姿勢で作業し、必ずフル装備の安全具(フルフェイスシールド、ヘルメット、閉じたジャケット等)を着用してください。ジャケットのジッパーが確実に閉まっているか、頭部が覆われているかを確認しましょう。
