白内障手術に用いられる器具と技術の変遷
背景
メイヨークリニックによると、白内障は水晶体内のタンパク質が変性し、レンズが濁ることで視力が低下する状態です。先天的に、子供時代、または加齢に伴い発症します。
外科手術の歴史は古代に遡り、紀元前1750年頃の文献にも記録があります。当時はレンズを開いて取り除くのではなく、ランスでレンズを眼球の奥へ押し戻す方法が主流でした。18世紀になると、フランスの外科医ジャック・ダヴィエルが病変した水晶体を直接除去する手術を初めて実施しました。その後、1948年に手術用顕微鏡と人工水晶体(IOL)の導入により、現代的な白内障手術が可能となりました。
従来の外嚢摘出術(ECCE)
外科百科事典によれば、重度の白内障に対しては外嚢摘出術(Extracapsular Cataract Extraction, ECCE)が標準とされています。手術の流れは以下の通りです。
- 眼瞼保持器で眼球を固定し、角膜を切開して水晶体嚢を開く。
- 吸引装置で水晶体内部の濁った核を除去。
- 嚢内に弾性物質を注入し、アクリル製人工水晶体(IOL)を装着。
- 弾性物質を除去し、切開部を縫合して終了。
超音波乳化(Phacoemulsification)
超音波乳化はECCEよりも新しい手法で、超音波プローブで白内障を粉砕し、吸引で除去します。侵襲が小さく患者への負担が軽減されますが、機器操作には高度な訓練が必要で、熟練まで合併症リスクが高まることがあります。
Catarexシステム
1997年、Atlantic Pharmaceuticalsは「Catarex」という新しい白内障除去システムを特許取得しました。この機械式装置は極小切開で水晶体嚢へアクセスでき、手術時間を従来の20〜40分から10分未満に短縮することが可能です。
手術選択の考慮点
メイヨークリニックは、現在では白内障手術が以前に比べて推奨されやすくなっていると指摘しています。非手術的治療法は存在せず、かつ過去の手術はリスクが高かったため、視力が著しく低下するまで手術を延期することが一般的でした。近年の技術進歩により手術は簡便化し、合併症リスクも低減したため、症状が生活に支障を来す段階で早期に手術を受ける患者が増えています。
