膝手術における硬膜外麻酔の合併症
硬膜外麻酔は、背部の硬膜外腔に薬剤を注入することで、患者が意識を保ったまま手術中の痛みを抑える方法です。膝手術でも利用されますが、施術ミスや解剖学的な差異により麻酔が十分に作用しないことがあります。
硬膜外麻酔とは
硬膜外麻酔は、背部の硬膜外腔に針を刺し、そこにカテーテルを留置して薬剤を投与する技術です。正しく行われれば、分娩や股関節・膝関節の手術などで患者は覚醒したまま痛みを感じません。
カテーテルを通じて手術中に必要な量だけ薬剤を持続的に投与できるため、繰り返し注射を行う必要がありません。
硬膜外麻酔と膝手術
膝手術の際、下半身の感覚を麻酔でブロックするために硬膜外麻酔を選択する外科医もいます。しかし、ミシガン大学医学部のレオン・ヴィッサー麻酔科医によれば、硬膜外麻酔には失敗という合併症が存在します。
合併症:硬膜外麻酔の失敗
硬膜外麻酔が期待通りに効かない原因として、最も重要なのは施術者の経験不足です。
針を硬膜外腔に到達させる際、最初は抵抗感がありますが、正しく腔内に入ると抵抗は減少します。この抵抗の減少を誤って判断すると、カテーテルが腔外に入ってしまい、神経への薬剤投与が行われません。
部分的失敗(セグメンタル・スペーシング)
個々人の解剖的な違いにより、硬膜外腔が不均一になることがあります。その結果、麻酔が全ての神経終末に届かず、一部の部位だけが痛みを感じる「部分的失敗」が起こります。
この場合、手術中に疼痛を訴える部位と、麻酔が効いている部位が混在し、追加の疼痛対策が必要になることがあります。
片側遮断(ユニラテラル・ブロック)
硬膜外腔が中隔で左右に分かれている(セプテート)場合、麻酔が片側にしか広がらないことがあります。術前に検出できなければ、手術中に膝の片側だけが痛むことがあります。
このような場合、患者を横向きに寝かせるなどして薬剤を拡散させる工夫が有効です。
