ロス手術(大動脈弁置換)の概要と注意点

大動脈弁置換の基礎知識

大動脈弁は心臓から全身へ血液を送る大動脈への入口です。弁が逆流したり、開閉がうまくいかないと、心臓は血液を十分に送り出すために余分な負荷がかかり、長期的には心不全につながります。大動脈弁置換は、機能しない弁を新しい弁に取り替えて、心臓の負担を軽減し、正常な血流を回復させる手術です。

ロス手術の適応条件(スクリーニング)

ロス手術は、主に50歳未満で大動脈弁置換が必要な患者に検討されます。加えて、肺動脈弁(肺へ血液を送る弁)の状態が良好で、疾患がないことが重要です。肺動脈弁は手術後に大動脈弁の代わりに使用されるため、十分に発達している必要があります。また、マルファン症候群などの結合組織疾患がないかも確認します。

手術の流れ

手術が承認されると、まず肺動脈弁と肺動脈の一部を摘出し、暫定的に保存します。その後、損傷した大動脈弁と大動脈の一部を除去し、左右冠動脈を一時的に切り離します。

次に、保存しておいた肺動脈弁(自家肺動脈移植片)を大動脈弁の位置に移植し、切り離した冠動脈を再接続します。最後に、ドナーから提供された肺動脈弁(同種肺動脈弁)を、元の肺動脈弁の位置に移植して手術は完了します。

術後のメリット

ロス手術は手術時間が長く技術的にも高度ですが、以下のような利点があります。

  • 自家組織で作られた大動脈弁は、体内での適応性が高く、長期にわたって機能します。
  • 機械弁と異なり、終生抗凝固薬(血液を固まりにくくする薬)が不要です。
  • 生体弁(動物由来)の耐用年数(7〜10年)を大きく上回る耐久性が期待できます。

術後のリスク

主なリスクは、肺動脈自家移植片(肺動脈自家移植)が破綻する可能性です。自家移植片は大動脈の高圧に耐える必要があり、場合によっては拡張不全や弁機能不全を起こすことがあります。手術の利点とリスクについては、担当医と十分に相談してください。

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