腰痛の鍼治療
鍼(はり)は、数千年前に中国で誕生した伝統医療で、近年米国でも急速に普及しています。極細の滅菌ステンレススチール製の針を皮膚に刺し、体の特定のツボに刺激を与えることで、痛みや不調の緩和を目指します。
鍼と腰痛
メイヨークリニックによると、いくつかの研究で鍼が疼痛を軽減し、化学療法による嘔吐感を抑える可能性が示されています。腰痛に悩む患者の中には、鍼治療で症状が和らいだと報告する人も少なくありません。
2007年の全米健康インタビュー調査では、300万人以上の成人が腰痛に対する代替・補完療法として鍼を選択したことが明らかになっています。
研究結果
米国国立補完代替医療センター(NCCAM)の調査では、慢性腰痛のある638人を対象に、鍼または偽鍼(主要ツボ以外の浅い刺入)を行ったグループが、標準治療群に比べて痛みのコントロールに有意に優れたことが報告されました。
この研究はシアトルのグループヘルス・センター・フォー・ヘルス・スタディーズのダニエル・チャーキン博士が主導し、Archives of Internal Medicine に掲載されています。
NCCAMは、本結果が腰痛患者や医療従事者にとって、比較的安全かつ効果的な治療法を探す上で重要な手がかりになると評価しています。
研究分析
メリーランド大学医学部とイギリス・プラムスリー大学医学部の研究者は、世界各地で実施された30件以上の鍼治療に関する腰痛研究をメタ解析しました。その結果、鍼は短期(約3週間)で痛みを顕著に軽減し、その効果は長期にわたって維持される傾向が確認されました。追加の研究も進行中です。
本メタ解析の詳細は、2024年4月19日付のAnnals of Internal Medicine に掲載される予定です。
鍼治療の流れ
鍼治療は通常、週1回または2週間に1回のペースで行われ、全12回程度が一般的です。針の刺入部位に応じて、仰向け・俯せ・横向きのいずれかの姿勢で施術します。
針が皮膚に入る瞬間に軽い鋭い感覚を覚えることがありますが、深部に達すると鈍い圧迫感が広がります。針は5〜20分程度体内に留め、1回のセッション全体は約30分です。
メリットとリスク
適切に実施すれば鍼は安全で副作用も少なく、鎮痛薬に頼りたくない、あるいは薬の効果が不十分な方の代替手段として有望です。
主な副作用は、針刺部位の出血、あざ、軽い痛みです。極めて稀に針が折れたり、内部臓器を損傷するケースが報告されています。
