ダニ媒介疾患
ロッキー山脈斑点熱(Rocky Mountain spotted fever)は、リケッツ菌 Rickettsia rickettsii によって引き起こされ、ダニに刺されることで感染します。米国ではアメリカ犬ダニ(Dermacentor variabilis)とロッキー山脈木ダニ(Dermacentor andersoni)が主な媒介者です。米国外では茶色犬ダニ(Rhipicephalus sanguineus)やアムブリオマ・カジェネンセダニが感染源となります。症状は刺されてから 5〜10 日で発症し、発熱、嘔吐、頭痛、筋肉痛、食欲不振などが現れ、重症例では鮮明な発疹や下痢を伴います。
最初の報告例
この病気が医学界の注目を浴びたのは 19 世紀末です。米国国立衛生研究所(NIH)の資料によれば、最初に確認されたのは 1896 年のアイダホ州スネークリバー渓谷で、当時は「黒いはしか」と呼ばれ、致死率が高かったとされています。
リケッツ博士の研究
米国公衆衛生局の要請で、ハワード・T・リケッツ博士はモンタナ州ビターロート渓谷へ調査隊を派遣しました。1906 年までに、ダニが病原体を媒介することを実証し、同時にワクチンの開発にも成功しています。
ロッキー山脈研究所の設立
1928 年、モンタナ州ハミルトンにロッキー山脈研究所が建設され、ロッキー山脈斑点熱の研究拠点となりました。1931 年に公衆衛生局が取得し、1937 年に国立衛生研究所感染症部門に編入、1948 年に NIH の一部として統合されました。
現代の症例
20 世紀前半の研究成果にもかかわらず、ロッキー山脈斑点熱は現在も発生しています。病歴家ビクトリア・A・ハーデン氏の調査によると、1970 年代に軍事訓練や観光が拡大したことが原因で症例数が急増しました。ダニは冬季に死滅しやすいため、発症は主に 4 月から 9 月に集中します。
興味深いことに、CDC はこの病気の多くが「南大西洋地域」(デラウェア州、メリーランド州、バージニア州、ウェストバージニア州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、ジョージア州、フロリダ州、ワシントン D.C.)で報告されているとしています。特にノースカロライナ州とオクラホマ州の症例が多く、ロッキー山脈地域での発生は現在は稀です。
治療法の変遷
かつてはワクチン接種が主流でしたが、現在は抗生物質治療が標準です。診断が確定したらすぐにテトラサイクリン系抗生物質を投与し、熱が下がった後も最低 3 日は継続して服用します。
