膀胱がんに対する化学療法の概要
膀胱がんとは
膀胱がんは、尿を貯める風船状の臓器である膀胱に発生するがんの総称です。主に膀胱内壁の上皮細胞から始まり、徐々に外側へ広がります。がんの進行度はステージ(Ⅰ〜Ⅳ)で評価され、治療方針はステージに応じて決定されます。
早期膀胱がんの化学療法
ステージⅠ・Ⅱの早期膀胱がんでは、局所的に薬剤を投与する「膀胱内化学療法(intravesical chemotherapy)」が行われます。主な手順は次のとおりです。
- 尿道からカテーテルを膀胱に挿入し、ドキソルビシン(Adriamycin)やチオテパ(Thioplex)、ミトマイシンC(Mutamycin)などの薬剤を注入。
- 薬剤を膀胱内に1〜2時間保持し、その後排尿で体外に排出。
全身への影響が少ないため副作用は比較的軽度です。主な一時的症状は膀胱炎、痛み、頻尿・切迫感、軽度の出血などです。手術と併用して行われることが多いです。
進行期膀胱がんの化学療法
腫瘍が大きくなったり筋層へ侵入したりした場合、手術前に腫瘍を縮小させる「術前化学療法」や、放射線療法と併用することがあります。また、手術後に再発予防として「術後化学療法」も行われます。
この段階では全身に薬剤を投与するため、静脈注射(IV)で以下のような薬剤が使用されます。
- シスプラチン、カルボプラチン、ドキソルビシン、ドセタキセル、シクロホスファミド、ゲムシタビン、メトトレキサート、イホスファミド、ビンブラスチン、パクリタキセルなど。
- 代表的なレジメンは「MVAC」(メトトレキサート+ビンブラスチン+ドキソルビシン+シスプラチン)や、副作用が少ない「ゲムシタビン+シスプラチン」です。
転移性膀胱がんの化学療法
がんが他の臓器へ転移した場合、全身化学療法が主な治療となります。放射線療法や症状緩和を目的とした手術と併用することもあります。臨床試験での新薬や新しいレジメンを受ける選択肢もあります。
化学療法の主な副作用
全身化学療法は正常な細胞にも影響を与えるため、以下のような副作用が現れます。
- 脱毛、皮膚乾燥・湿疹、口内炎。
- 骨髄抑制による感染リスク増大、出血やあざができやすくなる。
- 吐き気、嘔吐、下痢などの消化器症状。
- 性機能障害(不妊、性欲低下)など。
副作用は個人差がありますので、医師と相談しながら対策を講じることが重要です。
