サソリ毒を利用した膠芽腫治療の最新研究
膠芽腫(グリオブラストーマ)は最も致命的な脳腫瘍の一つで、患者は新しい治療法に期待しています。イスラエル産黄サソリの毒を人工的に合成し、放射性同位体と結合させた薬剤 TM-601 が注目されています。
膠芽腫の重症度
日本でも年間約1万7千人が脳腫瘍と診断され、その中で最も致死率が高いのが膠芽腫多形性(GBM)です。新たに診断された患者の平均生存期間は8〜15か月で、5年生存率はわずか5%です。腫瘍の位置や大きさに応じて、手術、化学療法、放射線療法が組み合わせて行われます。
サソリ毒を用いた臨床試験(18名)
米国カリフォルニア州、アラバマ州、ミズーリ州の医師らは、再発性GBM患者を対象に TM-601 の安全性と腫瘍結合性を検証する第Ⅰ相試験を実施しました。各患者は腫瘍腔内にカテーテルと皮下リザーバーを設置し、放射性毒素を単回投与しました。
実験結果
投与後、TM-601 は腫瘍内に留まり、正常な脳組織や他臓器への影響は認められませんでした。18名中4名で腫瘍が安定または改善し、単回投与でも有望な効果が示されました。この結果により、さらなる第Ⅱ相・第Ⅲ相試験への移行が決定されました。
顕著な成功例
患者の反応は個人差がありますが、イリノイ州ティンリーパーク在住のドナ・ヴァン・リンさん(2005年12月診断)は、手術・放射線・化学療法を経ても腫瘍が再発し続けていました。TM-601 を静脈投与開始後、症状が止まり、運動や新たな教師としての仕事に復帰できました。
キューバでのサソリ毒治療
キューバでは、青サソリの毒を数滴蒸留水に混ぜた「エスコヴル」という民間療法が広く利用されています。過去12年間で約7万人ががんやその他の疾患に対して使用しており、元は民間療法師ミサエル・ボルディエルが広めました。現在は国営製薬会社ラビオファムが成分の臨床試験を行っています。
