なぜ化学療法中に髪が抜けるのか?
化学療法はがん治療に用いられる100種類以上の薬剤を総称し、経口、クリーム、腫瘍内注射、静脈点滴、膀胱・腹腔・中枢神経系への直接注入など様々な方法で投与されます。これらの薬は細胞の増殖を妨げることでがん細胞の増殖を抑制しますが、同時に正常な細胞にも影響を及ぼし、脱毛やその他の副作用が生じます。
細胞周期と細胞増殖
体内のすべての細胞はDNAに基づく特定の機能を持ち、増殖(分裂)することで同じ機能を持つ新しい細胞を作ります。細胞は増殖の過程でDNAをコピーし、二つに分かれます。
化学療法が細胞増殖に与える影響
一部の細胞は頻繁に増殖・死滅を繰り返しています。化学療法は細胞増殖のいずれかの段階を阻害し、正常な増殖ができなくなるため、がん細胞の数が減少します。がん細胞は増殖が活発なため、治療効果が高まります。
毛包細胞への影響
毛包(毛根)も頻繁に細胞分裂を行っていますが、化学療法はがん細胞と毛包細胞の違いを認識できません。その結果、毛包細胞の増殖が阻害され、毛包が減少し、髪が抜け落ちます。
脱毛はいつ起こるか
治療開始から約2週間で脱毛が始まります。多くの患者は頭皮にチクチクした感覚や痛みを感じます。薬剤によっては、髪がすべて抜け落ちるまでに3〜7日程度かかります。脱毛は一時的なもので、化学療法が終了し細胞増殖が正常に戻ると毛髪は再び伸びてきます。
脱毛への対処法
現在のところ、脱毛を防止したり軽減する確実な方法はありません。頭皮を冷やす(クライオセラピー)などの試みは、一部のがん細胞が十分に殺せなくなるリスクがあるため、治療効果を低下させる可能性があります。脱毛は自然に受け入れ、治療終了後の再生を待つことが最善です。
