化学療法で髪が変わる理由とは
化学療法は、手術や放射線療法と組み合わせてがん治療に用いられます。化学療法には吐き気や倦怠感など様々な副作用がありますが、患者は頭髪や体毛が全体的または部分的に抜けることもあります。脱毛は一時的な副作用であっても、患者にとっては感情的に大きな衝撃を与えることがあります。
化学療法の意義
化学療法は、体内で急速に増殖するがん細胞を殺す、または増殖を抑えるために薬剤を使用します。補助療法としては、手術後に残存するがん細胞を除去する目的で化学療法が行われます。また、腫瘍を縮小させるために手術前に化学療法を実施することもあります。
さらに、進行がんの緩和治療段階で痛みなどのがん関連症状を和らげるために用いられます。骨髄疾患の治療では、骨髄・幹細胞移植の準備として化学療法が行われます。免疫系疾患(例えば全身性エリテマトーデスや関節リウマチ)に対しては、低用量の化学療法薬が病状管理の一環として投与されることがあります。
化学療法が髪に及ぼす影響
Breastcancer.orgによると、化学療法は体内のすべての増殖細胞を急速に殺します。がん細胞だけでなく、健康な細胞も対象となります。毛包細胞は体内で比較的速く増殖する細胞の一つであり、化学療法の標的になりやすいです。
化学療法開始から数週間で、患者は頭髪が部分的または全体的に抜けることがあります。その抜け方は急激なものから徐々に進行するものまで様々です。使用する薬剤の種類によっては、眉毛・まつげ・腕・脚・脇の下・陰毛など体毛全体が抜けることもあります。
留意点
化学療法による脱毛の程度は、使用する薬剤、投与量、治療期間、投与頻度などによって変わります。Breastcancer.orgによれば、週1回の低用量投与は、月1回の高用量投与に比べて脱毛が少ない傾向があります。
化学療法薬の種類と脱毛の関係
脱毛が顕著に起こりやすい薬剤としては、アドリアマイシン(ドキソルビシン)やタキサン系(パクリタキセル)があります。アドリアマイシンは治療開始から約1か月で頭髪はもちろん、まつげや眉毛まで全て抜けることがあります。タキサン系も頭髪全体、まつげ・眉毛、さらには腕や脚、陰毛まで脱毛が起こります。
一方、メトトレキサート、シクロホスファミド(シクロタミン)や5-フルオロウラシル(5-FU)などは比較的脱毛が軽度です。メトトレキサートは一部の患者で髪が細くなる程度で、完全な脱毛は稀です。シクロホスファミドや5-FUの影響は個人差が大きく、顕著に脱毛する人もいれば、ほとんど変化がない人もいます。
脱毛から再生までの期間
メイヨークリニックによると、化学療法終了後、髪の再生が始まるまでに約3か月から10か月かかります。治療後最初の2〜3週間は、柔らかくふわふわした産毛が生えてくるのが見られ、1か月ほどで通常の髪の長さと質感が戻ります。毛包が化学療法の影響から完全に回復すれば、髪は本来の成長速度で伸び続けます。
再生速度は個人差があります。新しく生えてくる髪は、元の髪と比べて質感や色が変わることがあります。
