肝転移の治療法
肝転移とは、他の臓器で発生したがんが血流やリンパを介して肝臓に転移した状態を指します。転移が認められると根治的治療は困難になることが多いですが、転移が肝臓だけに限られる場合は外科的切除や局所療法により根治が期待できることがあります。大腸が最も多く肝転移の原発部位ですが、乳癌・膵臓がん・胃がんなどでも肝臓は頻繁に転移先となります。
外科手術・凍結手術(クリオサージェリー)
肝臓は全体の約20%が残っていれば再生し正常な機能を取り戻すことができるため、外科的切除の適応が比較的高い臓器です。しかし、転移が多発しているケースでは肝臓切除だけでは根治できないことが多く、他臓器への転移があるかどうかを慎重に評価する必要があります。転移が肝臓単独の場合、外科的に肝臓の病変を切除すればがんを根治できる可能性があります。原発巣が適切にコントロールされた後に追加転移が起きなければ、治癒が期待できます。
凍結手術は、手術が適応外の場合や切除が難しい場合に行われる局所治療です。針を通して腫瘍を極低温で凍結し、がん細胞を壊死させます。ただし、肝臓は他の重要臓器に近接しているため十分な低温が得られにくく、外科手術に比べて効果は限定的です。
焼灼療法(アブレイティブセラピー)
焼灼療法は腫瘍を外科的に除去したり凍結したりせず、熱や薬剤で破壊する方法です。主に以下の3種類があります。
- 経皮的アブレーション(切開不要)
- ラジオ波焼灼(RFアブレーション)
- アルコール焼灼
ラジオ波やアルコール焼灼では、熱エネルギーやエタノールを直接腫瘍内に注入し、がん細胞を死滅させます。これらは化学療法や放射線療法と併用して症状緩和や生活の質向上に役立つほか、手術前に腫瘍を縮小させて切除しやすくしたり、手術後の残存がん細胞を除去する目的でも用いられます。
塞栓療法(エンボリゼーション)
塞栓療法は腫瘍への血流を遮断することで腫瘍を死滅させます。肝臓へ血液を供給する肝動脈に塞栓材を注入し、腫瘍が必要とする酸素と栄養を遮断します。塞栓療法は単独でも効果がありますが、外科手術、放射線療法、化学療法と組み合わせて使用されることが多く、総合的ながん治療の一環として位置付けられます。
総合的に、患者さんの全身状態や転移範囲に応じて、手術、局所療法、全身療法を組み合わせた個別化治療が選択されます。
