グラスファイバー断熱材とがんの関係
グラスファイバーの種類
グラスファイバーは、繊維の太さや形状を変えることでさまざまな特性を持たせられます。E‑ガラスは電気絶縁に、連続繊維は他素材の強度向上に、ガラスウールは極細でウール状になり、断熱・防火・防音に適しています。また、耐熱性や強度を高めた特殊用途繊維も製造されています。
大型グラスファイバー
直径3μm以上、長さ10μm以上の繊維は、2004年のACGIH(米国産業衛生学会)の基準で「安全」とされています。EPAは吸入可能な繊維は5μm未満と定義していますが、ACGIHの調査では、グラスファイバー工場の労働者に肺がんの増加は認められませんでした。
注意点
ACGIHは動物実験でグラスウールが発がん性を示したとしていますが、実験は繊維を気道に注入する方法で行われ、人が自然に吸入する状況とは異なるとされています。
2010年報告
米国国立毒性プログラム(NTP)の2010年報告では、極細(0.05μm)で長さ20μm以上の繊維は吸入により実験動物の肺がんを増加させると指摘されています。繊維が肺組織に長時間残留する「バイオパーシステンス」もリスク要因とされています。
最も懸念される繊維タイプ
NTPの報告で特に問題視されたのは、特殊用途のガラスウール(例:タイプ475、MMVF‑33)です。さらに、E‑ガラス繊維を吸入させた実験でも悪性・非悪性腫瘍の増加が確認されました。
DNA変化の可能性
2008年の研究(Ngueaら)では、ガラスウール繊維が哺乳類細胞のDNAを損傷し、染色体異常を引き起こすことが報告されています。
依然としての意見の相違
政府機関の見解は、住宅用断熱に使用されるグラスウールがヒトのがんを引き起こす証拠はないとしています。一方で、皮膚・眼の刺激や呼吸困難を起こす刺激性は認められており、取り扱い時の注意は必要です。NTPの報告でも、住宅内での断熱材使用が大きな曝露増加につながらないことが示されています。
