前立腺がんの放射線治療に伴う副作用
治療の概要
前立腺がんの主な治療法は手術と放射線治療です。近年の放射線治療は局所がんに対して高い効果が期待できますが、照射量と照射方法が治癒率と副作用のバランスを左右します。放射線治療を選択する際は、短期的・長期的な副作用について十分に理解しておくことが重要です。
腸機能への影響(治療初期)
放射線治療は週5回、最低6週間続きます。直腸の壁は前立腺よりも放射線に対して感受性が高く、累積的に障害が蓄積します。前立腺がんの標準照射量は70 Gy以上ですが、直腸は50 Gyで損傷が起こります。そのため、治療開始から6〜8%の患者で直腸炎が起こり、下痢、頻繁な排便、粘液の排出、場合によっては出血が見られます。
腸機能への影響(治療後期)
照射が進むにつれて障害が進行し、肛門管の潰瘍や痛みを伴う排便、出血が生じることがあります。メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターのピーター・T・スカルディーノ医師によると、患者の26%が腸痙攣、17%が慢性下痢、38%が膨満感、12%が直腸出血や粘液漏出、30%が直腸痛を訴えています。治療後1〜2年で便意切迫感や下痢、出血が続くケースもあり、10〜15%の男性は排尿・排便の失禁で大人用おむつを使用する必要があります。
尿路への副作用
6〜9週間の照射期間中に尿道が損傷し、出血や刺激感、痛みが生じます。尿道炎により10〜20%の患者が頻尿、切迫感、焼けつくような痛みを経験します。これらの症状は治療開始4〜6週間後に現れ、最長で3か月程度続いた後に自然に軽快しますが、長期的には出血や疼痛が残ることがあります。
勃起機能障害
勃起に関わる神経は前立腺から約2.5 mm離れた位置にあり、がん細胞を除去する際に不可避的に損傷します。放射線治療後数年から症状が現れ、30〜50%の患者で徐々に勃起力が低下します。毛髪の脱毛が起こることもあります。
不妊リスク
放射線は精子細胞を変異させるため、治療後に自然妊娠する可能性は極めて低くなります。将来子どもを望む男性は、治療前に精子凍結保存を検討すべきです。一般的には6〜8回分の凍結保存が推奨されます。
