吸入エピネフリン投与に伴う呼吸療法士の職業リスク
概要
エピネフリンはヒトの副腎で生成されるホルモンですが、実験室でも合成できます。心停止の治療、免疫療法の基剤、局所麻酔薬、喘息治療に用いられる気管支拡張薬として広く利用されています。市販の吸入器にも含まれていますが、一部の使用者に副作用が報告されています。研究によれば、標準的な手技を行う呼吸療法士がエピネフリン吸入薬を扱う際の職業上のリスクは極めて低いとされています。
歴史
エピネフリン吸入器は1960年代に米国で初めて販売されました(Chest Journal)。1982年、米国食品医薬品局(FDA)は、適正用量で使用すれば圧縮式定量噴霧吸入剤として安全かつ有効である旨の文書を発表しました。1986年には、ラベル表示を拡充・改訂した上で、一般販売を継続しても公衆安全上の問題はないと結論付けました。しかし、2011年12月以降、CFC(フロン)を含むエアロゾル成分がオゾン層破壊につながるとして、米国ですべてのエピネフリン吸入器は販売中止となりました。
過剰吸入による危険性
『Encyclopaedia of Occupational Health and Safety』によると、エピネフリン吸入薬の過剰投与例は極めて少ないものの、濃度の高い麻酔ガスに長時間曝露したケースが多数報告されています。過剰摂取により心臓がエピネフリンに感作され、頻脈などの症状が出現し、濃度と曝露時間に応じて致死的になる可能性があります。
副作用
RxListによれば、エピネフリン吸入器の主な副作用は血圧上昇、心拍数増加、神経過敏、不眠、震え、痙攣などです。Drugs.comの報告では、頭痛、食欲不振、吐き気も見られます。重篤な副作用としては喘鳴、アレルギー反応(発疹、呼吸困難、胸部圧迫感、口面の腫脹)があります。
