ケトアシドーシスの重炭酸ナトリウム治療法
概要
ケトアシドーシスは、血中の酸性度が著しく上昇した状態で、主に糖尿病患者に見られます。診断は動脈血採取と血液・尿中のケトン測定で行われます。インスリン不足により血糖が細胞に取り込めず、脂肪が分解されてケトン体が増加し、血液が酸性に傾きます。
重炭酸ナトリウムの特性
重炭酸ナトリウムは白色結晶の粉末または錠剤として市販されるアルカリ性物質です。酸性環境を中和する能力が高く、代謝性アシドーシス全般に対して使用されますが、特にケトン性アシドーシス(DKA)に対しては、腎機能が著しく低下している場合に限定して静脈投与が選択されます(JASN)。
作用機序
インスリン欠乏により細胞へのブドウ糖供給が阻害されると、体は脂肪をエネルギー源として利用し、ケトン体を産生します。ケトン体は血液中で酸性を示し、動脈血pHが低下して臓器機能に悪影響を及ぼします。重炭酸ナトリウムは血中の酸を中和し、pHを上昇させることで毒性を軽減します。
臨床的意義
経口投与では胃内容物と混ざり胃酸を減少させますが、重炭酸ナトリウムは主に静脈投与で急速に血液の酸性を緩和します。理想的な動脈血pHは約7.2とされ、重炭酸ナトリウムは一時的なpH補正手段として使用されます。
治療上の留意点
DKAの第一選択は、インスリン投与と十分な輸液、電解質補正です。腎機能が正常であれば、体内で自然に重炭酸が生成されるため、重炭酸ナトリウムの静脈投与は稀です。定期的に血液・尿検査を行い、pHやケトン濃度をモニタリングします。
注意事項・警告
ケトアシドーシスの警告サインとしては、深く速い呼吸(クスマウル呼吸)、皮膚・粘膜の乾燥、吐き気・嘔吐、腹痛、倦怠感、頭痛などがあります。ケトン測定で早期発見が可能です。症状が疑われる場合は速やかに医師に相談してください。
