脳腫瘍が引き起こす悪性高血圧とクッシング症候群

高血圧(血圧が高い状態)は、世界中で最も一般的な疾患のひとつです。死亡率・罹患率ともに高く、重要な公衆衛生上の問題です。悪性高血圧は、血圧が急激に上昇し、直ちに生命に危険を及ぼす状態を指します。その原因のひとつに、頭蓋内腫瘍(脳腫瘍)があります。特に下垂体にできる腫瘍は、クッシング症候群(クッシング病)として知られています。

背景となる生理学

血圧の調節は、心拍出量と末梢血管抵抗(PVR)の組み合わせにより決まります。どちらもさまざまな要因の影響を受けるため、健康な人でも血圧コントロールは複雑です。

異常な生理学

血圧の異常上昇は、血液量の増加、電解質異常、腎機能障害、メタボリックシンドローム、妊娠中の子癇、そしてエピネフリンを分泌する腫瘍(フェオクロモサイトーマ)などが原因となります。副腎は腎臓の上に位置し、血圧調節に関与しますが、その制御は脳の下垂体から分泌されるACTHというホルモンに依存しています。

脳腫瘍に起因する本態性高血圧

下垂体にできる腫瘍はさまざまな種類がありますが、最も一般的なのは腺腫(アデノーマ)です。下垂体腺腫は、分泌されるホルモンの種類に応じて影響を及ぼします。血圧に関与する下垂体ホルモンはACTHであり、これが副腎に作用してエピネフリンの産生を促し、高血圧を引き起こします。

クッシング症候群

クッシング症候群は、下垂体にACTH産生腺腫ができた結果として起こります。通常、ACTHは必要に応じて適量が分泌され、血圧は正常に保たれますが、腺腫によりACTHが過剰に産生されると、副腎が過剰にエピネフリンを分泌し、高血圧が生じます。

クッシング症候群の鑑別診断

クッシング症候群で見られるエピネフリンと血圧の上昇は、副腎にフェオクロモサイトーマができた場合と同様です。フェオクロモサイトーマは副腎にできる腫瘍で、過剰なエピネフリンを産生します。高血圧の症状として頭痛が現れるため、症状だけでは両者を区別するのは困難です。MRIやCTといった画像診断により、脳や副腎の腫瘍の有無を確認することで鑑別が可能です。

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