橈骨神経損傷の回復
橈骨神経とは
橈骨神経は、手の背側の感覚や手首・指の伸展を司る重要な神経です。例えば、熱いコンロに触れたときに「熱い」と感じるのもこの神経の働きです。感覚が失われると、危険から手を離す信号が脳に届かず、二次的な怪我を招く恐れがあります。
損傷の原因
橈骨神経は上腕骨(ヒューメラス)の近くを走行しているため、上腕骨が骨折すると神経が圧迫されやすくなります。骨折後の骨癒合過程で新たに形成された骨が神経を締め付けることもあります。また、手術用プレートが神経を刺激する稀なケースも報告されています。統計によると、上腕骨骨折患者の約15%が何らかの橈骨神経障害を伴います。
その他の原因としては、杖の不適切な使用による「杖パリシー」、手首をきついバンドで締め付けること、腕を椅子の背もたれに掛ける、寝違えなどの急激な圧迫があります。
主な症状
- 手や前腕の異常感覚(しびれ、チクチク、灼熱感)
- 肘以上の腕の伸展困難
- 手首や指の伸展が制限される
- 感覚低下や疼痛
診断方法
医師はまず外傷歴や症状を聞き取り、身体診察を行います。必要に応じて、筋電図(EMG)や磁気共鳴画像(MRI)、神経伝導速度検査、場合によっては神経生検などを実施し、脳卒中など他疾患との鑑別を行います。
回復と治療
多くの場合、橈骨神経は自然に回復します。自然治癒が期待できる期間は損傷後約3か月です。3か月以内に症状が改善しない場合は、神経への圧迫除去や断裂修復を目的とした手術が検討されます。手術後は、リハビリテーションとして理学療法や、必要に応じて手首・指のスプリント装着が行われます。
