ヒト成長ホルモン治療の概要
子どもの成長障害の原因
脳底にある下垂体はヒト成長ホルモンを分泌します。下垂体は視床下部と連結しており、視床下部や下垂体の形成不全・損傷により成長ホルモンが不足し、成長障害が起こります。胎児期に正しく形成されなかったり、出生後に頭部外傷や髄膜炎・脳炎などの重篤な疾患で損傷することがあります。原因が特定できないケースもあります。
症状と診断
成長ホルモン欠乏症の子どもは、同年齢の子どもが1年に約5cm(2インチ)伸びるのに対し、伸びが著しく遅く、見た目が年齢より若く、体格ががっしりまたは太りやすい傾向があります。診断は、子どもの既往歴や母親の妊娠・分娩経過の確認、手・手首のX線撮影による骨年齢の評価、血液検査や下垂体MRIなどでホルモンレベルや構造異常を調べます。
治療
成長ホルモン欠乏症は、医師の指示のもと自宅でヒト成長ホルモンを注射します。1日1回または週数回の投与が一般的で、3〜4か月で身長の伸びが確認できることが多いです。治療は、成人身長が目標に達するまで、あるいは更なる成長が見込めなくなるまで数年継続します。
成人における成長ホルモン欠乏症
下垂体腫瘍、頭部外傷、放射線治療や手術などが原因で、成人でも成長ホルモンが不足することがあります(AGHD)。症状は筋力低下、脂肪増加、骨密度低下、心血管リスク上昇、倦怠感、イライラなどです。これらは毎日のヒト成長ホルモン注射で改善します。
その他の使用例とリスク
運動能力向上や老化防止を目的にヒト成長ホルモンを不正に使用する例がありますが、これは重大な健康リスクを伴います。米国バージニア大学・インディアナ大学の小児臨床医学教授アラン・ロゴル博士は、適正用量を超えるとアクロメガリー様のホルモン濃度に達し、筋力低下・心疾患・死亡リスクが高まると警告しています。また、偽造薬にはアナボリックステロイドなどが混入し、腫瘍成長を促進する恐れがあります。
