犬の心拍出量と心機能
心拍出量(CO)と心機能の概要
心拍出量(Cardiac Output: CO)は、犬の心臓が1分間に送り出す血液の量を示す指標で、心機能の評価に用いられます。COは、心拍数(HR)と1回拍出量(SV)を掛け合わせて求められ、体重で割ったものは心拍指数(Cardiac Index: CI)と呼ばれます。
心機能に影響する主な要因
- 前負荷(Preload)…拡張期に心筋が伸張される程度。
- 後負荷(Afterload)…左心室が血液を駆出する際に受ける抵抗。
- 収縮性(Contractility)…心筋自体の収縮力。
- 順応性(Compliance)…収縮後の心筋が拡張期に再び伸びる能力。
- 収縮の協調性…心室・心房が同期して効率的に血液を駆出すること。
心拍数が心拍出量に与える影響
心拍数が上がると、CO と CI は直接的に増加しますが、同時に心筋酸素消費量(MVO₂)も上昇し、拡張期に血液が心臓に戻る時間(前負荷)が短くなります。その結果、拡張末期容積が減少し、冠動脈への血流時間も短くなるため、心筋への酸素供給が低下します。
心拍数を変動させる要因
- 自律神経系の調節(交感・副交感刺激)
- 頭部刺激や安静から興奮への変化などの感覚刺激
- 呼吸数や血圧変化を感知するバロレセプターの活動
- Bainbridge反射…心房圧の上昇が心拍数を上げる
- 右心房・大静脈、左心房・肺静脈に存在する機械受容体
- 頻脈性不整脈(タキアレルジア)や徐脈性不整脈(ブラジアレルジア)
MVO₂ が心機能に与える影響
安静時の犬では、心筋酸素供給と需要はほぼ均衡しています。MVO₂ が適度に上昇すれば、CO と冠血流もそれに応じて増加し、心機能は維持されます。供給が追いつかない場合、収縮力が低下し不整脈が起こりやすく、さらにCO が低下して冠血流が減少し、無酸素状態が悪循環します。
収縮性が心機能に与える影響
収縮性が向上すると、1回拍出量が増加し、前負荷が減少します。同時に心筋酸素消費量(MVO₂)も上がりますが、CO の増加で補償できれば問題ありません。逆に収縮性が低下すると、拍出量が減少し、酸素供給不足が顕在化しやすくなります。
