糖尿病患者における化学療法性神経障害の実態と対策

神経障害は中枢神経系だけでなく、末梢の運動・感覚・自律神経の機能・構造が乱れる状態を指します。糖尿病患者は末梢神経障害を起こしやすく、指のしびれや手根管症候群が代表的です。さらに、がん治療で化学療法を受けると、化学療法性末梢神経障害(CIPN)が足から始まり、脚全体に広がることがあります。糖尿病と化学療法が同時にあると、神経障害のリスクはさらに高まります。

事実

  • 糖尿病患者ががん治療で最新のがん治療薬を使用すると、末梢神経に影響を与える副作用、すなわち化学療法性神経障害が起こります。糖尿病だけでも神経圧迫や神経障害のリスクがあるため、化学療法によるリスクは約2倍に増加します。

原因となる薬剤の種類

  • シスプラチンやタキサン系(例:パクリタキセル)に加えて、ビンカアルカロイド系やポドフィロトキシン系の薬剤も末梢神経障害を引き起こすことがあります。

主な影響

  • 現在使用されている多くの化学療法薬は、神経障害を誘発する化合物を含んでいます。特にシスプラチンやタキサン系はリスクが高いです。多発性骨髄腫の治療に有効なサリドマイドも神経障害を引き起こすことが知られています。

予防・対策

  • 手足に症状が出た化学療法性神経障害患者は、複数の末梢神経を減圧する手術で症状を軽減できます。手術は外来で行われ、1本の四肢につき約1.5時間、四肢ごとに約3か月の間隔をあけて実施します。

研究・仮説

  • 米国のA. Lee Dellon医師が行った研究では、血糖値が400 mg/dLの糖尿病ラットに対し、脛骨神経を外科的に減圧すると神経障害が予防されました。足に塗った色付きのペンキで歩行痕を可視化し、糖尿病ラットの足跡は非糖尿病ラットとほぼ同じでした。
  • 同様に、シスプラチン投与ラットでも化学療法性神経障害が足跡に現れ、脛骨神経の減圧手術により歩行パターンが改善されました。

以上のように、糖尿病と化学療法が同時に存在すると神経障害のリスクが顕著に増大します。早期の診断と適切な減圧手術、さらには神経保護薬の開発が今後の課題です。

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