クローン病・潰瘍性大腸炎で貧血が頻発する理由

クローン病・潰瘍性大腸炎と貧血の関係

クローン病と潰瘍性大腸炎は、炎症性腸疾患(IBD)の代表的な2つのタイプです。慢性的な腸管炎症により消化機能が低下し、栄養素の吸収が妨げられます。その結果、鉄欠乏性貧血が頻繁に見られ、約45%のIBD患者が貧血を併発します。

貧血が起こる主なメカニズム

  • 鉄分摂取不足:食欲低下や鉄分が多い食品への不耐性により、食事からの鉄摂取が十分でなくなる。
  • 吸収障害:腸粘膜の炎症が鉄や他の栄養素の吸収能を低下させる。
  • 慢性的な出血:炎症が原因で顕在的・微小的な腸内出血が起こり、これが最も大きな鉄ロスの要因となる。

クローン病における特徴

クローン病は消化管のどこでも炎症が起こり得ますが、栄養吸収の中心である小腸(十二指腸・空腸・回腸)が炎症を起こすと、鉄の取り込みが著しく低下します。また、患者の約70%が手術で炎症部位を切除しますが、手術後も再発率は高く、5年以内に約33%が再燃し、再び鉄欠乏が進行します。

潰瘍性大腸炎における特徴

潰瘍性大腸炎は大腸と直腸に限局します。炎症が活性化すると血液が腸内に漏れやすく、これが鉄喪失の主因です。臨床的に寛解していても、半数以上の患者で貧血が認められる報告があります。約3分の1の患者が結腸全摘(コロクトミー)を受け、炎症組織が除去されることで鉄状態が安定します。

貧血の主な症状

  • 皮膚・粘膜の蒼白
  • 倦怠感・疲労感
  • 集中力低下・頭痛
  • めまい・息切れ

貧血は無症状の場合も多く、定期的な血液検査が不可欠です。安定期では6~12か月に1回、活動期やフレア時は3か月ごとのチェックが推奨されています。

治療・対策

鉄分を多く含む食品

寛解期で固形食が摂取できる場合、食事からの鉄補給を意識しましょう。主な鉄源は以下の通りです。

  • 赤身肉(牛・豚)
  • 鶏肉
  • 魚介類
  • 大豆製品、豆類(大豆、レンズ豆)
  • ナッツ・種子類

経口鉄剤

経口製剤は第一選択とされますが、腹痛、吐き気、下痢、便秘などの胃腸障害を起こすことがあります。耐性が高い製剤を医師と相談し、適切な用量・種類を選びましょう。

静脈内(IV)鉄投与

IV鉄は腸管を経由しないため、胃腸副作用がほとんどありません。臨床試験では、活動性IBD患者に対してIV鉄は経口鉄よりもヘモグロビン上昇効果が高く、迅速な鉄補充が必要な場合の第一選択とされています。寛解期でも鉄貯蔵が著しく低下している場合に有効です。

医師に相談すべきサイン

  • 症状が薬だけで改善しない
  • 新たな出血や出血量の増加を感じる
  • エネルギー低下や集中力の低下が続く
  • 「体調がすぐれない」感覚がある

貧血は生活の質を大きく低下させ、入院期間の延長とも関連しています。最後の鉄検査から6か月以上経過している場合は、早めに医療機関で血液検査を受けることをおすすめします。

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