二重障害の分類と概要
二重障害とは
「二重障害(dual disability)」と「二重診断(dual diagnosis)」は混同されがちですが、同義語ではありません。二重診断は精神疾患と薬物・アルコール依存症が併存する状態を指します。一方、二重障害は必ずしも物質使用障害を伴うわけではなく、主に精神障害と知的障害が同時に存在するケースを意味します(物質使用障害がある場合もあります)。この定義は、Ruth Elder ら著『Psychiatric and Mental Health Nursing』に基づいています。
精神障害
米国精神保健連盟(NAMI)によれば、精神障害は「思考、感情、気分、対人関係、日常生活の機能を著しく乱す」医療的状態の総称です。診断は主に異常な行動や社会的機能の低下、患者自身の主観的報告に基づきます。世界保健機関(WHO)の推計では、生涯のうちに全人口の約4割が何らかの精神健康問題を経験するとされています。米国や他の先進国では、精神障害が障害原因上位10項目のうち4項目を占めています。
分類基準
精神障害の診断には、主に以下の2つの分類体系が用いられます。
- 米国精神医学会が発行する『診断統計マニュアル(DSM‑IV‑TR)』
- 世界保健機関が出版する『国際疾病分類(ICD‑10)』第V章「精神・行動障害」
診断カテゴリは感情障害、不安障害、発達障害、人格障害、精神病性障害、性的障害、睡眠障害など多岐にわたります。
知的障害
米国知的・発達障害協会(AAIDD)は、知的障害を「18歳未満に発症し、知的機能と適応行動の両方に顕著な制限がある状態」と定義しています。知的障害は単にIQだけで判断されるわけではありませんが、IQテストは知的機能の測定に重要な指標です。米国障害児童センターの報告によれば、米国人口の約3%(100人に3人)が知的障害を持っています。
分類基準
知的障害の評価は複雑ですが、一般的にIQスコアで以下のように区分されます。
- 軽度(IQ 50〜75)― 全知的障害患者の約85%を占めます。
- 中等度(IQ 35〜55)― 患者の約10%。
- 重度(IQ 20〜40)― 患者の約3%。
- 深刻(重篤)(IQ <20〜25)― 患者の約2%。
