薬物依存症の概要と対策
米国では、薬物依存による死亡率が1980年以降540%も上昇しています。推定で600万人の子どもが、少なくとも1人の薬物依存親を家庭に抱えているとされています。薬物をストレス対処の手段とする人が増え、カフェインやニコチンの使用は、現在容易に入手できるハードドラッグに比べれば影響ははるかに小さくなっています。
識別
薬物依存症は、違法薬物や処方薬に対して身体的・精神的に依存し、薬物の使用が生活の中心となってしまう状態を指します。依存性のある薬物は、覚醒剤、オピエート、鎮静剤、幻覚剤などに大別されます。依存のリスクは、個人の体質や薬物の依存性の強さによって変わります。身体への直接的な影響があるため、薬物依存は疾病であると同時に行動障害でもあります。遺伝的要因、環境要因、学習経験などが原因として挙げられます。
依存サイクル
精神医学の診断マニュアル(DSM)は、依存サイクルを3つの段階に分類しています。
- 第1段階:執着・予期 – 薬物使用に関する考えや期待が日常の思考を支配します。
- 第2段階:大量使用・中毒 – 実際に薬物を使用し、快感や効果を得る段階です。
- 第3段階:離脱・否定的影響 – 薬物の効果が切れた後に現れる不快な症状です。
これらの段階は1日で何度も繰り返され、使用期間が長くなるほど強度が増し、やがて本人の生活全体が薬物中心へと変化します。
特徴
薬物依存の身体的・行動的サインは比較的分かりやすく、使用する薬物の種類によって異なります。
- 覚醒剤使用者は、気分の変動、落ち着きのなさ、過剰なエネルギー、体重減少が見られます。
- オピエートや鎮静剤使用者は、混乱、動作や言語の遅延が典型的です。
- 静脈注射を行う場合、季節に関係なく長袖を着用したり、腕に痕が残ったりします。
- 鼻血、頻繁な咳や痰の増加、急激な体重変化も警戒すべきサインです。
予防・対策
治療は個々の状況や使用薬物に応じて選択されます。心理的側面には認知行動療法が、離脱症状の緩和や再発防止には薬物療法が用いられます。重度の場合は入院治療が必要になることもあります。また、Narcotics Anonymous(匿名薬物依存者会)などのサポートグループは、教会やコミュニティセンターで安全・機密性の確保された場を提供し、経験の共有と回復を支援します。
警告
薬物依存は身体的状態と精神的状態が相互に影響し合う病です。使用が続くと脳は薬物の効果に耐性を持ち、同じ効果を得るために使用量が増加します。長期使用により脳は薬物なしでは正常に機能できなくなり、急に使用をやめると「コールド・ターキー」状態となり、発汗、震え、吐き気、イライラなどの離脱症状が現れます。脳の化学バランスが永久に変化することもあり、何年も禁断状態が続いても再発のリスクは常に存在します。
