耳硬化症(オトスケレロシス)の治療と対策
耳硬化症とは?
耳硬化症は中耳の骨が硬化し、聴力が低下する疾患です。進行すると聴力は徐々に悪化しますが、内耳の損傷による聴力低下とは異なり、手術で改善が期待できます。
原因
中耳には耳小骨(槌骨・砧骨・耳骨)があり、特に最小の耳骨(ステープス)が影響を受けやすいです。骨の成長が過剰になり、耳骨の底部が石灰化して可動が阻害されます。遺伝的要因が関与すると考えられています。
リスクが高い人
米国では白人の約10%が耳硬化症の兆候を持ち、うち約1%が実際に聴力低下を起こします。若年成人の中耳性難聴の主な原因とされています。アフリカ系アメリカ人や南米・日本人では稀です。女性は男性の約2倍の発症率で、妊娠中は症状が急速に悪化することがあります。
症状
発症は15歳から45歳までの幅がありますが、20歳前後で症状が出ることが多いです。主な症状は耳鳴り(ティンパナス)で、時にめまいやふらつきを伴います。患者の約80%が両耳に症状を認めます。
診断
簡易聴力検査で診断が可能です。さらに、側頭骨CTで骨の石灰化を確認できます。確定診断が必要な場合は、探索的鼓膜切開術(中耳探査)という外科的手技で直接中耳を観察します。
治療法
診断後の主な治療は以下の通りです。
1. ステープトミー(耳骨手術)
局所麻酔下で行われる手術で、硬化した耳骨の一部を除去し、人工プロテーゼで置換します。手術時間は1時間未満で、術後1週間で耳管のパッキングを外すと聴力がすぐに改善します。
2. 補聴器
手術を望まない、または受けられない患者には補聴器が有効です。適切に調整すれば、ほぼ正常な聴力に近い状態を取り戻せます。
3. 病状進行抑制薬
フッ化ナトリウム(フッ化ナトリウム錠)を服用することで骨の成長を抑え、病気の進行を遅らせる効果が期待できます。
